公開当時本作は批評家からの酷評にあい、
観客からも総スカンを喰らいました。
『ジョーズ』(1975)『未知との遭遇』(1977)と立て続けにメガヒットを連発したスピルバーグ監督は、
もう一丁との意気込みで本作にとりかかったに違いありません。
冒頭から自作『ジョーズ』のセルフパロディから始まる本作は、
日本軍が真珠湾攻撃を行ってから6日後のロサンゼルスの海岸の街が舞台。
住民たちは次の標的はこの街に違いないと恐怖に慄いている。
確かに日本軍の潜水艦は近寄っていた。
標的は「ハリウッド」。
アメリカの象徴であるハリウッドを攻撃すれば米国民も意気消沈するだろうとの思惑があった。
街の住民は自警団を組むがまことに頼りない。
若者は女の子とダンスに夢中。
敵機を見つけたら一番手柄を挙げるのだと意気揚々と飛んでくる戦闘機の大尉(ジョン・ベルーシ)もいるが、
敵は現れず片っ端から街を破壊する。
このベルーシの怪演は『ブルース・ブラザース』より凄いかもしれない。
空から地上のガソリンスタンドに給油しに降りてくるシーンの危ないことといったら!
このシーンは『激突』(1971)のパロディにもなってます。
街にやってきた軍の司令官は、
アニメ『ダンボ』を観て涙し、
女性秘書官は飛行機を見ると欲情する変な奴(ナンシー・アレン)
こんなめちゃくちゃな登場人物を揃えてバックに流れるのが、
ジョン・ウィリアムスによる「1941のマーチ」。
私は映画館でゴキゲンでしたね!
ドタバタコメディでありながら、
ダンスシーンにはミュージカルっぽい振り付けも加えられていて、
三船敏郎やクリストファー・リーまで出演していて、
なんて贅沢な作品なんだと思いましたよ。
この贅沢な作りが批評家たちのひんしゅくを買ったようですね。
ちょっと調子に乗りすぎてるんじゃないかと。
自分の作品でセルフパロディなんて10年早いとかね。
スピルバーグはその天才的な演出力でいかにも簡単に作品を作ってしまうイメージが悪い方についた。
そんなことはないと思うんですけどね。
脚本も練られてるし、
(ちなみに脚本は後年大ヒットとなるバック・トゥー・ザ・フューチャーのロバート・ゼメキスとボブ・ゲイルね)
ラストは大観覧車を使って『未知との遭遇』のパロディまでやってしまう。
作品があざとく見えてしまうんでしょうね、スピルバーグ監督の場合。
僕が黒人映画の傑作に挙げている『カラー・パープル』(1985)だって、
『E.T.』や『インディ・ジョーンズ』から方向転換して作家性を見せつけてやろうという思いなんだろうという意地悪な見方をされて、あんなに素晴らしい作品なのにオスカー10部門ノミネートされながら全滅でしたからね。
でももし未見でしたら改めて観てください、本当にいい作品ですから。
ちょっと話題が『1941』からそれてしまいましたが、
大変面白い作品です。
日本人の描き方に少しイヤな部分があるのだけがマイナスで、
戦争を徹底的に茶化した作品。
私は高評価です!