男はつらいよ(1969) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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最も長く続いたシリーズ映画としてギネス記録にもなっている『男はつらいよ』。

山田洋次監督の代表作としても、盆暮れ正月の風物詩としても日本人の記憶に残っている作品ですね。

 

もともとテレビシリーズだった本作の最終回で、

主人公の寅さんがハブの噛まれて死んでしまうというラストに抗議の声を上げたファンの声を受けて映画化されました。

 

第一作である本作は、

その後続いていく本シリーズのプロローグ的な意味合いを持っています。

(当初の案では本作と続編の2作で完結させようとしていたらしい)

 

約20年ぶりに故郷である葛飾柴又に戻ってきた車寅次郎。

的屋を生業とする彼には両親がおらず、

腹違いの妹さくら=倍賞千恵子がいた。

 

さくらは叔父叔母夫婦と一緒に暮らしている会社員。

そんなさくらにある日縁談話が舞い込んでくる。

 

叔父叔母が多忙で出かけることができないため、

兄の寅次郎が妹のお見合いに同席することに。

 

しかし、寅次郎の破天荒な性格と発言が災いして、

縁談は破談となってしまう。

 

責任を感じた寅次郎はまた家を出てしまい、

放浪の旅に出るのだが・・・

 

寅次郎が出会う女性といい仲になるのだが、

結局は振られてしまい旅に出てしまうというのがシリーズを通してのパターンだが、

本作でも、御前様(柴又帝釈天題経寺住職=笠智衆)の娘で幼なじみの冬子(光本幸子)に惚れていい感じになるのだが振られてしまう。

 

ちなみに、この冬子さん。

あの態度は男を狂わせますよ。

すでに婚約者がいるのにあの態度はね・・・ダメですよ。

 

しかし得難いキャラクターだな、寅さん=渥美清。

的屋の口上が天下一品、思わず聞き惚れる。

不器用な愛情表現が愛おしいし共感できるんですよね。

 

シリーズが進んでいくにつれて、

寅さんが若者に対して恋の指南役となっていくのがつまらなくなってしまった。

人情深いのはいいのだが、

やっぱり寅さんは自分自身に一生懸命なところに惹かれていたのだから。

 

日本では知らない人はいない本シリーズ。

世界的評価はどうなんだろう。

あまり聞かないですね。

 

毒がなさすぎるのが日本人には心地いいんですけど、

世界的には物足りないのですかね。

シリーズを通してのストーリーはほとんど変わらない。

永遠のマンネリの美学は通じないのでしょう。

 

そんな評価は関係なく、

日本人の心象映画として風化させないようにしたい作品ですね。