先日、
雨のシーンはこれでしょ!PART4で「小さな恋のメロディ」のワンシーンをレビューしました。
そして最後に「脚本アラン・パーカー(さすがです)」と記しました。
彼は、
脚本を担当した「小さな~」から映画界に携わるようになり、
チャイルドミュージカルの傑作「ダウンタウン物語」(1976)を脚本と監督として制作するようになります。
この「ダウンタウン物語」は本当によくできていて、
特に売れっ子舞台女優タルーラ役のジョディ・フォスターの魅力を最大限に引き出しました。
前作の「小さな~」のトレーシー・ハイドとマーク・レスターと同様に、
まだ色のついていない子役に素晴らしい色を付けることができる監督でした。
無名俳優を上手に活かすという点では、
青春映画の傑作「フェーム」(1980)でもその手腕を存分に発揮します。
芸能学校に通う青年たちの恋愛や友情を爽やかに描き上げた本作で、
歌手志望の女生徒役のアイリーン・キャラを発掘してます。
アイリーン・キャラは、エイドリアン・ライン監督の「フラッシュ・ダンス」の主題歌、
「What a Feeling」で大ヒットを飛ばすことになりました。
やや若者向けの作品をうまく撮る監督だと思いきや、
「ミッドナイト・エクスプレス」(1978)では、
トルコの刑務所に投獄された青年の脱獄を描いた。
この作品はまさに息が詰まるという形容がピッタリの作品で、
唸るほど感心しました。
社会派作品と言えば、
「ミシシッピー・バーニング」(1988)で厳しく人種差別問題を追及して、
骨のある監督だと思いました。
厳しい作品でした。
かと思えば、
ベトナム帰還兵の心の傷を丁寧に描いた、
「バーディー」(1984)なんかも撮ってしまう。
ラストのどんでん返しではジーンと瞼が熱くなりました。
恋愛映画にもうまいところをみせた。
「愛と哀しみの旅路」(1990)は、残酷な恋愛映画でした。
残酷と言えば、
血まみれホラー・サスペンス、
「エンゼル・ハート」(1987)なんかも撮っていた。
こちらはミッキー・ロークとロバート・デ・ニーロという個性派俳優の個性を殺さず、
お互いを引き立てあううまい演出でした。
私的には、
ミッキー・ロークは本作がベストアクトだと思っています。
故双葉十三郎先生が、
アラン・パーカー監督を評して、
「パーカーはなんでも書ける万年筆」と仰ってられました。
本当にうまい例えです。
脚本も緻密に練られる方だから、
物語の見せ方を知っている本当の職人監督でした。
外れなしの職人監督。
アラン・パーカーさん。
好きでした。
アラン・パーカー
1944年2月14日-2020年7月31日