『0.5ミリ』
2014年(日) 安藤桃子監督作品
安藤桃子の原作小説を、
自ら脚色、演出し、
妹の安藤サクラの主演で描いた196分の長編。
介護ヘルパーのサワ(安藤サクラ)は、
依頼主の娘から、
冥途の土産に一晩だけ父と一緒に寝てほしいと頼まれ、
添い寝だけならということでその申し出を受けるが、
それが原因で依頼主の家が火事になってしまい、
サワは、
仕事もクビになってしまう。
サワは街で見かける老人たちの押しかけ介護をするようになり・・・
介護、老人の性問題、認知症、愛国心、ネグレクト、性同一性障害など、詰め込めるだけ詰め込んだという印象です。
重くなりがちなテーマを、
溌溂ともいえる安藤サクラの好演が湿っぽくなることなく演じ、
寓話的雰囲気を醸し出しています。
今は亡き竜じぃ(吉本新喜劇の井上竜夫)が、
カラオケやで騒動を起こす役で出ていたのですが、
酸素ボンベを持ち歩く役で、
ちょっと悲しくなった。
津川雅彦も、
厳格だがちょっとスケベな元帝国軍人の役で好演しているが、
老人たちの中で一番印象に残ったのは、
これまた吉本新喜劇のアホの坂田こと坂田利夫。
サワの機転で投資詐欺の被害を免れる人のことを疑うことができない老人役。
坂田がサワにプレゼントするのは、
あのジウジアーロデザインによる幻の車、
いすゞ117クーペ。
この場面もいいのだが、
坂田が、
『自分の家に帰る』と言って老人福祉施設に入所していく場面の哀愁には驚いた。
背中が哀しく、
笑顔も悲しい。
安藤サクラの熱演でなんとかもっているが、
196分は少々長かったかな。
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