かしこい狗は、吠えずに笑う | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
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『かしこい狗は、吠えずに笑う』

2013年(日) 渡部亮平監督作品

 

どこかで見たような筋書きですが、

なかなかよくできているサイコホラーです。

 

ブルドックのような容姿でクラスの中で蔑まれていた熊田美沙。

可愛い容姿で、いじめを受けていた清瀬イズミ。

 

二人はふとしたことから親しくなり友情をはぐくんでいくと思われたが、

急激な速さで距離を縮めてくるイズミに対し、

美沙は次第に狂気を感じるようになり・・・

 

回想場面に若干の混乱がみられるが、

それでもよく書けていると思う。

 

前半の爽やかな印象と、

後半のホラーな展開の切替がうまい。

 

なんでもないお弁当を食べてる場面から、

物語は劇的に転換する。

 

金魚、インコ、などの小動物を小出しに使いながら、

次第に粘着質度を高めてくるイズミ。

変態教師と同棲していることがわかってからのキャラの憑依。

 

主人公は、

異変に気付いたときになぜ警察に駆け込まなかったのかという疑問が払拭しきれないところに物語の甘さがありますが、

自主映画でこれだけのものを作り上げた渡部監督の手腕は大いに認めるべきでしょう。

(脚本も監督自身、ちなみにシナリオ作家協会シナリオ講座出身)

 

無名の俳優さんばかりですが、

それがかえってリアリティを増す効果を生んでいます。