サバイバルファミリー | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

『サバイバルファミリー』

2017年(日) 矢口史靖監督作品

 

いつも“面白い”作品で僕らを愉しませてくれる矢口監督が、

今回は少々ブラックなコメディを作り上げた。

 

ある日突然電気が完全にストップ。

携帯や乾電池の類さえも使えなくなり、

街中はパニックに。

 

人々は水や食料を確保するのに必死となり、

スーパーやコンビニから食料はなくなってしまう。

 

どこからかのうわさで、

大阪から西は電気が通っていると聞いた主人公一家は、

空路で妻の実家鹿児島に向かおうとするが、

飛行機も全面ストップ。

 

一家は自転車で鹿児島へ向かうことにしたのだが・・・

 

文明社会、デジタル文化への皮肉と警鐘がたっぷり。

電気のない生活が、

現代人の生活を壊滅的に停止させることをあざ笑う。

 

映画としてのみどころは、

セットやCGを一切使わずロケでやり通したところ。

本物の高速道路を自転車で走ったり、

大阪の新世界、通天閣の真下でロケしたり。

とくに新世界の場面は無人なので、

独特の未来的場面となった。

 

主人公一家も困っていたが、

実際こういう時に困るのはトイレ。

『阪神淡路大震災』の時もトイレ問題が逼迫していた。

 

震災の時に乾電池5000円で売っていたぼったくり店もあったのだが、

この作品でも似たような場面が出てくる。

 

そして“食”の問題。

本当に飢えた時に僕は動物を殺して食せるかどうか。

 

物語としては、

主人公一家に襲い掛かる災難が、

僕らの考える想定内なのがちょっと残念なところ。

『あっ!』と思える場面がないんですよね。

 

矢口監督の新境地ともいえる作品ですが、

出来栄えは中くらい・・・かな。

地味にお金はかかってますけどね。