絞殺 | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

絞殺』

1979年(日) 新藤兼人監督作品

 

思いつめた表情で父親(西村晃)はつぶやく。

『殺そう・・・』

妻(乙和信子)は無表情でうなずく。

 

2階に上がった父親は、

自分の浴衣の帯を息子の首にかけ絞殺する。

 

階下で気配を感じている妻は失禁する・・・・

 

こんな衝撃的なプロローグで始まる本作は、

この後、

妻のモノローグでの回想シーンとなる。

 

有名進学校に合格した息子。

とても真面目な生徒だった。

 

そして同級生に淡い恋心を抱くが、

彼女は義父の慰めものになっており、

それを知った息子はゆがんだ感情の赴くまま、

自分の父親にも憎しみを感じ、

家庭内暴力に走る・・・

 

父を憎み母と交わる、

強烈なエディプスコンプレックスが描かれていて、

正視できないシーンも多くある。

 

母親役の乙羽信子は、

過剰とも思える愛情を息子に傾けるが故に、

とんでもない悲劇が起きる。

 

厳格な父親の言葉がなぜか空虚に感じられ、

次第にイラつく息子の心理もよく描けていたと思う。

息子のマザコンぶりも相当だ。

 

胸糞悪くなる(失礼)物語だが、

善人ずらした隣人の言動がそれを増幅させる。

よその家族の不幸に土足で踏み込んでくる奴らだ。

それも笑顔で。

 

そういえばこの時代、

家庭内暴力が社会問題になっていたなあ・・・

3年B組金八先生の第2シリーズ、

『腐ったミカンの方程式』もこの頃だった・・・