アウトレイジ 最終章 | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
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『アウトレイジ 最終章』

2017年(日) 北野武監督作品

 

7年間の長きにわたって制作されてきた『アウトレイジ』シリーズもこれで最終章とのこと。お疲れさまでした。

 

新作ですので、

ストーリーは他のブロガー様たちが書いておられるので割愛。

 

相変わらず感じるのは、

北野監督らしい間の上手さでした。

 

衝撃的なシーンを『バン!』と見せた後、

数秒我々観客に考える“間”を与え、

なるほど!とうなされる“オチ”を見せる。

 

表面的には冷静な大友(ビートたけし)が、

いきなり拳銃を海に向かってぶっ放し、

しばらくしてから、

静かに太刀魚の死骸が上がるなんて言うシーンは、

北野作品ならでは。

 

作品としてはどうだったか?

 

時代が時代だけに、

ヤクザ礼賛の作品はさすがの北野作品でも作りにくかったとみえ、

ストーリー的にはらしくない遠慮がうかがえる。

 

義理を果たすために我慢に我慢を重ねて、

ついに堪忍袋の緒が切れ、

腹黒い組織に牙をむくという、

往年の東映ヤクザ映画のようなカタルシスを感じることができなかったのは残念。

 

裏切り寝返りが当たり前の世界を描いているのだが、

どこか予定調和の印象がぬぐえない。

 

往年の名作、

仁義なき戦い』シリーズでは、

ヤクザ抗争を描きながら、

そのまま戦後昭和史となっていた。

本作にそこまでのストーリーの妙を求めるのは、

少々高望みだろうか。

 

また、

前作、前々作を観ていない観客に対して、

もう少し丁寧な展開も欲しかった。

いきなり本作から見始めた観客は、

人間相関図に少々戸惑うだろう。

 

お話を終わらせるために、

主要人物が次々死んでいくのも、

物語を捏ね上げた感じでもったいない感じがした。

 

前作に引き続き、

関東vs関西の図式があるのだが、

みんな頑張っているんだけど、

ネイティブな関西人の僕としては、

少々アクセントの異なる関西弁にも違和感を感じてしまった。

 

出演者は全員曲者だが、

一番腹芸をみせる塩見三省がおいしい。

 

北野監督は、

これで一旦暴力映画に区切りをつけたという。

 

少々辛口になってしまったが、

娯楽映画としては水準以上の出来栄えですので、

観に行っても損はありません。

 

ただ、

キッズ・リターン』のような傑作を、

心待ちにしている自分。

同じように思っている北野ファンの方も多いのではないだろうか・・・

 

 

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