地獄の英雄 | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

地獄の英雄』 原題: Ace in the Hole

1951年(米) ビリー・ワイルダー監督作品

 

世論を誘導するマスコミと、

その報道に煽動される庶民の姿をシニカルに描いた、

ビリー・ワイルダー監督の問題作。

 

酒が原因で、

ニューヨークの大手新聞社をクビになった新聞記者テイタム(カーク・ダグラス)は、地方の新聞社に自分を売り込みにやってきた。

 

テイタムは採用されるが、

地方での事件は他愛のないことばかり。

 

そんなある日、

テイタムはガラガラヘビの捕獲の取材のために、

ある村に取材に行く途中、

落盤事故現場に出くわす。

 

現場は、

先住民たちの信仰の対象になっている山で、

落盤事故にあった男レオは、

この山の中から壺を盗み出そうとして中で生き埋めになってしまった。

 

先住民たちは畏怖の念を感じ穴の中に入ろうとしない。

保安官も危険だということで、

中に入らないようにするが、

テイタムはこれぞ特ダネのチャンスということで、

保安官らの忠告を無視して助手とともに穴の中へ。

 

穴の中でテイタムとレオは対面を果たすが、

レオを救出することはできない。

 

テイタムは保安官を抱き込んで、

穴の中のテイタムとの対面を独占し、

中の様子を記事にした。

 

本来なら、

壁を補強しながら掘削すれば、

1日で救出できる作業だったが、

テイタムはできるだけ記事を感動的かつ注目させるために、

作業担当者まで抱き込み、

一週間かけて山の上からドリルで穴をあけて救出する方法を指示する。

 

テイタムの思惑通り、

記事は大評判となり、

現場見たさに全米からこの田舎町に人が押し寄せてきた。

 

しかし、

一週間の生き埋めに人間の体力は持つはずもなく・・・

 

くだらないワイドショーのニュースに振り回されている現代人こそ見るべき作品だと思います。

 

記事を煽るマスコミと、

それに煽動される大衆。

 

マスコミを味方につければ、

金も権力も手に入るという甘い罠。

みんなが振り回される。

 

報道倫理。

堅い言葉ですが、

今、報道に携わる方々に特に観ていただきたい作品です。

 

カーク・ダグラス熱演。

 

 

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懐かしい曲がいっぱい!

昭和音楽祭