スモーク | あの時の映画日記~黄昏映画館

あの時の映画日記~黄昏映画館

あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

スモーク』 原題:Smoke

1995年(米=日=独) ウェイン・ワン監督作品

 

僕は今も昔も人情話に弱い。

本作のようにさりげなく人間の温かみを描いている作品にはなおさら弱い。

 

ブルックリンの街角で煙草屋を経営しているオーギー(ハーヴェイ・カイテル)、

店の常連小説家のポール(ウィリアム・ハート)、

ハートを交通事故から助け、

偽名を使って何かとつきまとう黒人少年ラシードの3人を軸に物語は展開する。

 

オープニングでマンハッタンの遠景が俯瞰でとらえられているシーンから、

この作品は当たりだと確信した。

 

カメラなど無縁だと思えるオーギーは、

毎日同時刻に店からの風景を写真にとらえている。

 

閉店間際に飛び込んできたポールにその写真集を見せると、

その写真に他界した妻が偶然映っており、

その写真をみてポールは嗚咽する。

 

ポールがふらりと街を歩いているとき、

危うく車に轢かれそうになり、

17歳のラシードに助けられる。

 

チャプターごとにエピソードが分かれていて、

偽名を使っているラシードが身分を隠して蒸発した父親の元で働いたり、

オーギーの昔の彼女が金の無心にやってきたり、

その彼女の娘に心無い言葉をかけられた彼女を慰めたり。

どのシーンも相手を責めたりしない。

お人よしぞろいだ。

 

何も知らない父親の前で、

オーギーとポールに諭され、

自分が息子だということを告げるラシード。

状況が理解できない父親は子供と殴り合う。

名シーンです。

 

ラシードは強盗団から盗んだ金をポールの家の本棚に隠してあり、

その金が転々とするところもいい。

 

ブルックリンの高架を走る鉄道、

テレビで放映しているニューヨーク・メッツの試合、

オーギーと昔の彼女がリバーサイドの遊歩道を歩く風景・・・

 

が、

なんといってもいいのはラストで、

ニューヨーク・タイムズに寄稿するクリスマス記事にあうような、

素敵なエピソードはないかとポールがオーギーを訪ねるシーン。

 

そのエピソードはセリフなしで、

モノクロ映像で描かれる。

そのエピソードは嘘かもしれない。

でもそんなことは関係なく、

街並みや演者たちの表情がとても美しくて、

心の中がホカホカと温まる感動が沸き上がる。

 

エンドタイトルロールで、

『煙が目に染みる』が流れる演出もよかったなあ。

本当に人情話はいいもんです。

 

 

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懐かしい楽曲がいっぱい!

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