ロリータ | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
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ロリータ』 原題:Lolita

1962年(米) スタンリー・キューブリック監督作品

 

この歪んだ愛憎劇。

これをブラック・コメディとして魅せてしまうところに、

キューブリックの才能がある。

 

パリからアメリカにやってきたハンバート教授。

夏を過ごすために下宿を探していた彼は、

郊外の物件に住むことにした。

 

大家の未亡人の強引なトークに負けたのもあるが、

物件見学の時、

庭でフラフープをしていた大家の娘ロリータに特別な感情を持ったからである。

 

大家の強烈な求愛に負けて、

大家と結婚したハンバートだったが、

結婚生活は表面だけ。

本心はロリータに夢中だった。

 

仮面夫婦生活を続けていたハンバート夫妻だったが、

痴話喧嘩がもとで、大家は交通事故で死んでしまう。

 

周囲の心配とは裏腹に、

内心ロリータと二人っきりの生活ができるとほくそ笑むハンバート。

そして、

次第にロリータに対する異常な嫉妬と独占欲に駆られていく・・・

 

当時の検閲を通すために精一杯の工夫が多くみられる。

もともと中年男の少女愛というセンセーショナルな内容だけに、

今作るなら過激なシーンの連続だろう。

(エイドリアン・ライン監督がほぼ原作に忠実にリメイクしている)

でも、このぼやけたようなロリータとハンバートの描き方が、

暗喩的な想像を掻き立てられ、

まるで霧の向こうの三味線の音色に妄想を描くようでかえって生々しい。

 

そして、

この物語に登場する謎の人物。

ピーター・セラーズ演ずるクレア・キルティなる人物。

 

鍵を握る二役を演じているのだが、

このセラーズがまさに怪演。

これが次作『博士の異常な愛情』のストレンジラブ博士役につながったのは、

想像に難くない。

お気の毒に主役であるはずのハンバート演じるジェームス・メイソンがかすんでしまった。

 

ロリータを演じたスー・リオンも小悪魔的な好演だが、

原作ではもっと幼い感じだったんだろう。

 

この作品のあとから、

キューブリックはさらに覚醒する。

 

 

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スタンリー・キューブリック監督作品レビュー(作品名クリックで記事にリンクします)

 

 

 


懐かしい楽曲がいっぱい!

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