『君よ憤怒の河を渉れ』
1976年(日) 佐藤純彌監督作品
これはスケールのでかいハッタリ映画です。
僕はハッタリ映画大好きなので、
こんな作品は無条件に受け入れてしまいます。
強盗、強姦の罪を着せられた現役の検事杜丘(高倉健)。
杜丘は逃亡し、
真犯人を突き詰めるために東北~北海道~長野~東京へ。
そして、
そんな杜丘を執念深く追い詰める警部(原田芳雄)。
単なる逃亡サスペンスかと思いきや、
後半は黒幕代議士が登場し、
謎解きサスペンスっぽい展開になる。
この後半の部分がかなりやばくて、
きちがい病院(本編ママ)に高倉健が潜入して、
精神病になる。
その演技がかなりやばいのだ。
その前のシーンで、
田中邦衛が廃人となる描写をみせられているので、
否が応でもサスペンスは高まる。
陸路、海路すべて封鎖された北海道から脱出するのに、
飛行機を運転したことのない健さんがなんとセスナで脱出。
自衛隊機まで緊急発進して、
ここもなかなかスケールのでかい見せ場。
だから、
不時着するシーンが、
ビニールプールにプラモデルがぽちゃんと落ちるようにみえるのは、
予算が足りなかったのだろうと好意的に受け止めることができる。
同じく、
明らかに着ぐるみとわかる熊に襲われ、
木の上に上りキャーキャー言っている中野良子も良しとしよう。
ただお金をかけるシーンにはしっかりとかけていて、
特に伝説の、
新宿街中競走馬暴走シーンは、
よくやったなと思う。
今ならCG合成で済ましてしまうシーンを、
本当に馬を走らせてるもんね。
最後尾の馬が転倒するのもCGでは再現できないリアリティ。
ほんとにトンデモ展開を繰り広げる本作だが、
冒頭に書いたようにこんなハッタリ映画は大好きなので、
うれしくなってしまう。
大映のドンだった永田雅一の初のプロダクション映画だから気合が入っている。
監督は『新幹線大爆破』の佐藤純彌。
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