『岸和田少年愚連隊』
1996年(日) 井筒和幸監督作品
ずいぶん前に観たが、
GYAOで無料放送でやっていたのを再見したので、
取り上げることにした。
井筒監督については、
傑作もあれば駄作もあり、
いろいろ言いたいことがあるのだが、
やっぱり娯楽映画を撮らせたらその手腕は確か。
この作品、
政治的イデオロギーは皆無で、
ただ街を暴れまわっている二人の少年チュンバと小鉄(ナインティナイン)を中心した、
青春活劇。
「アホ!」「ボケ!」「カス!」
この作品で何回出てきただろう。
ただそれだけの映画なのに、
それがなぜか心地よい。
それはたぶん、
少年たちの使う大阪弁に嘘がないからだと思う。
喧嘩→復讐→喧嘩→復讐の繰り返し。
チュンバ(矢部浩之)は喧嘩の傷が癒える間もない。
チュンバにくっついているが、
実は小心者の小鉄(岡村隆史)、
いい味出してる。
銭湯で刺青自慢をするシーンは爆笑ものだ。
途中から出てくる、
雨上がり決死隊の宮迫演じるサイもすごい存在感。
仲間の友達二人を「サンダとガイラ」に例えてみたり、
劇中での映画館でやっている映画が「宇宙怪獣ギララ」だったり、
家で観ているテレビ番組が「野生の王国」だったり、
細かいディテールに凝っている。
チュンバとリョーコ(大河内奈々子)との小さなラブ・ストーリーが、
サイドメニュー。
リョーコの少し硬いセリフ回しもいい。
ヤクザも恐れる恐怖のカオルちゃん。
小林稔侍の怪演も楽しめます。
井筒監督作品の中では、
「ガキ帝国 」に次ぐ傑作。
近作の「ヒーローショー 」や「黄金を抱いて翔べ」などは、
持てる才能の無駄遣いをしている。
大阪の風を感じることのできる作品。
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