暗殺の森 | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます




暗殺の森』 原題:IL Conformista
1970年度(伊) ベルナルド・ベルトリッチ監督作品

これは、イタリアでしか作れない作品。
第2次世界大戦前のイタリアでのファシズムの発生より、
終息までを描く。

少年時代に、
運転手より性的いたずらを受けそうになった少年が、
運転手を射殺。

少年はこのことがトラウマとなり、
ファシズムへ傾倒していく。

少年は成長して、
ファシストの秘密警察となり、
共産主義者で大学時代の恩師の殺害を命じられる。

彼は新婚旅行でパリを訪れ、
そこで作戦を決行しようとするが、
恩師の妻に思いをよせてしまう。

自動車ででかけた恩師の暗殺を試みるが、
妻も一緒なので手を出すことが出来ず・・・

と、順をおって文章にするとこんな感じだが、
ベルトリッチ監督は、
この主軸に回想場面を重ねての複雑な構成をとっており、
それが成功し作品に厚みを与えた。

白い息を吐きながらの、
教授暗殺の場面は特に見事で、
教授とともについに標的になってしまった妻が、
顔面血だらけとなって、
声にならない叫び声をあげながら息絶えていくシーンなど、
とても強烈なタッチである。

ムッソリーニの銅像が倒され、
自動車でひきまわされ、
独裁政治の終焉を告げることになるのだが、
すっかり生気を失った主人公が、
夜の街を徘徊し、
かつての仲間をファシストだと告発し、
さらには過去の自分に出会ってしまうシーンなど、
作劇的にもとてもうまい。

日本映画ともハリウッド作品とも違うイタリアのタッチ。
僕はこの作品が大好きです。

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