『ゴジラ』
1954年度（日） 本多猪四郎監督作品
日本が誇るエンターテイメント作品。
それに、初代「ゴジラ」には、痛烈な社会風刺も込められている。
度重なる海上での水爆実験によって、
太古の昔から眠っていた怪獣「ゴジラ」が目を覚ます。
水爆の影響で、放射能を吐きながらゴジラは東京へ上陸。
瞬く間に東京を火の海としてしまう。
なにしろ、水爆でも生き残った生物なので、
陸、海、空の全精力を注ぎ込んでも倒すことができない。
果たして東京、いや人類の運命は・・・
ビキニ環礁の核実験により起きた、
第五福竜丸被爆事件がきっかけとなって作製されました。
核の恐怖を鋭く描いた作品と言えるでしょう。
ドラマ部分に、幾分ぎこちないところがあるものの、
上陸してからゴジラが大暴れするシーンは迫力十分。
背びれを光らせて放射能を吐くシーンもいい。
核を作った人間への逆襲だ。
ゴジラを倒すには、
水爆より破壊力のある兵器を使わなければならない。
それは人類を滅ぼす悪魔の兵器にもなりうる。
ちょっと舌っ足らずだが、
そんな科学者の苦悩も描かれる。
ゴジラの特撮はご存知着ぐるみ方式で、
破壊される街並みもミニチュアセットだが、
この時代にしてよく作ったなあという印象。
また、およそ60年前の日本の風俗図画としても、
興味深いシーンがたくさんある。
ゴジラが上陸して被災した都市は、
阪神淡路や東日本大震災、
戦争を知ってる方には大空襲のそれにダブって見える。
そして、日本人が平和ボケしていくに従って、
ゴジラも幼児ヒーロー化していく。
この第一作のように、
社会に毒を放つ作品は、
1971年の「ゴジラ対ヘドラ 」まで待たなければいけなくなるのでした。
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