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『悪名』
1961年度(日) 田中徳三監督作品
こんなに痛快な男がいたら。
この作品を観れば誰でもそう思うでしょう。
それほど、この作品の主人公朝吉を演じる勝新太郎は魅力的。
弱い者はほっておけない、曲がったことは大嫌いで、
筋が通らないことはヤクザでもだれでも関係なく
対等に話をつけて、
女には弱く、酒はからきしダメ。
力はめっぽう強く、ヤクザからも恐れられているが、
彼がくすぐったいような笑顔をみせると、こちらも嬉しくなってくる。
そんな朝吉の弟分、
田宮二郎演じるモートルの貞がまたいい。
相手によって態度を変える親分に愛想をつかし、
見事な関西弁でタンカをきって、朝吉の弟分になる。
ふたりの掛け合いは見事に呼吸があって、爽快感さえ感じる。
貞の兄弟分の盃を、
「そんな猿芝居みたいな真似はイヤだ」という朝吉に、
血相変えて突っかかるシーン。
朝吉の、
「ただの仲のいい兄弟でいいじゃねえか」のセリフで、
怒りの表情から実に嬉しそうな表情に変わる。
田宮二郎Good Job!
物語は、不幸な過去を持つ女郎の琴糸を、
朝吉と貞が足抜けさせてやるのが主軸となっている。
あ、そうそう、
朝吉が料理屋の娘お絹(中村玉緒)と初夜を迎える場面、
お絹が私を妻にすることという証文を書かせるシーンもあったかくなる。
クライマックスは、瀬戸内海の因島に売り飛ばされてしまった琴糸を、
大阪に連れ戻すため、島の大親分と対決。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140118/14/hal-9000hn/52/1e/j/t02200131_0421025012817555122.jpg?caw=800)
約束を反故にして、琴糸を逃してしまった朝吉に対して、
ステッキで制裁を加える島の大親分。
全く抵抗せず、打たれるがままの朝吉。
ついに根負けする大親分。
「わしのど根性は絶対死なへんのや・・・」
ボロボロになりながら、朝吉はつぶやく・・・
朝吉と貞のコンビは、
これが好評で、続悪名でも軽妙なやり取りをすることになります。
それはまた、次の機会に・・・
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