1987年度(伊=仏=米)
パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督作品
映画創世記時代の映画人に対する素晴らしいオマージュ!
『グッドモーニング・バビロン』
1913年ごろのイタリアトスカーナ地方。
ボナンノ・ボナンニ親方の下、大聖堂の修復工事が完了する。
この工事はボナンニ家にとって最後の仕事だった。
借金がかさんで、仕事をたたまざるを得なくなったのだ。
7人兄弟の末息子の二人ニコラとアンドレアは家業を続けたいと主張し、父にアメリカへの出稼ぎを乞い戻って家業を続けると申し出る。
先祖から黄金の腕を継いでいると認める最愛の息子二人に父ボナンノは
「いつ何が起こっても二人で力を合わせろ、そのために、いつ何があっても二人は平等でいろ、それがお前たち兄弟の力だ。」と別れの祝福を送る。
そして、アメリカで朝を迎える二人に対して毎晩眠る前に、グッドモーニングと挨拶をすると父は告げる。
アメリカに向かった二人だが、順風満帆とはいかなかった。
ハゲ鷹の荒野で豚を飼育する日々・・・
ところがある日その荒野に汽車で懐かしいイタリア語の、ヴェルディのアリアを歌う人々が来た。パナマ運河の開通記念のサンフランシスコ万博で、イタリア館の建築に向かう棟梁二人とその一行だった。たまらず汽車を追うニコラとアンドレア・・・
その後、ハリウッドに乗り込んだ二人。
兄弟で大きな象が前足をあげて坐っている像を森の中でこしらえる。
しかし、この象は意地悪な現場主任にやかれてしまう。
しかし、偶然撮っておいたフィルムにはこの象が写っていた。
その象を見たD・Wグリフィス監督(映画の歴史を変えた戦前の大作イントレランスの監督)に認められ、兄弟はバビロン宮殿の前面をかざる八頭の象の製作を依頼され、映画史に名高いあの壮麗な場面を創り出す。
そして、第一次世界大戦に二人は参加して、戦死するお互いの姿をカメラで撮影しようとする・・・
魅力的で感動的な場面が満載のこの映画。戦前のハリウッドの撮影所の場面の路面電車や、前述の森の中でたたずむ象、そして感動的なラストまで映画への愛が一杯です。
この感動は、とても文章で表すことはできません。
映画への愛という点では「ニューシネマパラダイス」と双璧をなす作品と言えるでしょう。
未見の方は是非!!
がちゃん