私の映画生涯BEST1にも彼が監督、出演した「ハンナとその姉妹」が挙がっています。
彼は初期作品には初期作品(ボギー俺も男だ、スリーパーなど)の、中期作品(アニー・ホール、マンハッタンなど)には中期作品の、現在の作品(それでも恋するバルセロナ、マッチ・ポイントなど)には現在の作品のそれぞれの面白さがあり、特に近年の作品には熟成されたワインのような深く味わい深い風味のある作風が感じられます。
この作品は、いわば中期の作品で「アニー・ホール」から新しい映像作家として進化した彼が、次々と実験的な作品を連発していたころの作品です。
ひょっとしたら面白さという点では、この作品が一番かもしれません。
1984年度(米)
ウディ・アレン監督作品。
『カメレオンマン』
1920年代を舞台に、ユダヤ人であるがゆえに子供のころからいじめられ続け、生きるためには周囲と同調しなければならないという思いが募ってしまった挙句、誰かに接近したり、一つの状況に置かれるたびに、その状況に顔も身体も精神までもシンクロして変化する主人公ゼリグ。
合成やそっくりさんをうまく使い、ベーブ・ルースやヒトラーと競演したりします。
観客は、その時代、場所にウディ演じるゼリグがそこに存在しているような感覚になります。
(この手法は後年のロバート・ゼメキス監督の「フォレストガンプにも応用されていますね)
そんなゼリグを治療する博士役のミア・ファローにゼリグは恋心を抱き始めるのだが・・・
ゼリグの生き方はパロディともいえるが、彼がユダヤ人なのにナチス党に入党するシーンに至っては、強烈な風刺が感じられ、世相史・風俗史としても興味深く観ることができます。
スクリーンから登場人物が飛び出してくる切ないラブ・ロマンス「カイロの紫のバラ」のステップにもなっていたんじゃないでしょうか。
しかし、本当に凝りに凝った作り方には拍手です。
面白いです。
がちゃん。
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