ビッグ映劇というのは、神戸にあった名画座です。
観たい作品があれば、住んでいた大阪から神戸にまでよく出かけたものです。
なかなか渋い2本立てもあったりして(たとえば追憶&スティングなど)、
神戸というおしゃれな雰囲気もあいまって、好きな劇場でした。
KOBE1982年秋の芸術祭と銘打って名作映画の2本立てを2日ずつ違う作品を上映してくれてました。
前年にポートピア’81映画フェスティバルというイベントがあって、それが好評だったため第2回が催されたのです。
因みに、上映された作品は、
’81年
「砂の器」「幸せの黄色いハンカチ」の2本立て。
「風と共に去りぬ」
「七人の侍」「天国と地獄」の2本立て。
「タワーリングインフェルノ」「タクシードライバー」の2本立て。
「サウンドオブミュージック」「スティング」の2本立て。
「ロッキー」「明日に向かって撃て」の2本立て。
「男はつらいよ(望郷編)」「太陽に盗んだ男」の2本立て。
「がんばれタブチくん」「ルパン三世カリオストロの城」の2本立て。
「小さな恋のメロディ」「エデンの東」の2本立て。
「戦国自衛隊」「野生の証明」の2本立て。
今見ても、魅力的なラインナップですよね。
そして第2弾’82年。
まず、淀川長冶先生の映画についてのお話があって、
「ライムライト」
「地球に落ちてきた男」「時計仕掛けのオレンジ」の二本立て。
「カバーガール」「ウエストサイド物語」の二本立て。
「地上より永遠に」「愛情物語」の二本立て。
「歴史は夜作られる」「嵐が丘」の二本立て。
「草原の輝き」「俺たちに明日はない」の2本立て。
本当に名作ぞろい!
センスのあるチョイスだと思います。
そこで今日はビッグ映劇で’82年の今日10月9日に観た
「時計じかけのオレンジ」のレビューを再録してみようと思います。
悪夢のような近未来を描いたスタンリーキューブリック監督の問題作。
1971年度作品『時計じかけのオレンジ』
マルコム・マクドウェル扮する、片目だけにつけまつげを付け性器を強調したコスチュームに身を包んだ主人公「アレックス」ら4人の不良少年たちが、ミルクバー(中には興奮剤が入っている)でたむろし、夜毎ホームレスの老人を襲ったり、別の不良グループと抗争を繰り返したり、車を暴走させてスリルを楽しんだり、他人の家に押し入ってそこの婦人をレイプしたりやりたい放題のことをする。
アレックスは家に帰ると机の中からペットのニシキヘビをなでながらヴェートーベンを聞き、暴力的な夢に興奮を覚えながら眠りにつく。
当然警察(補導員?)もアレックスには目をつけているが、アレックスは要領よく振舞っている。
グループの中でのリーダーである彼に対して他のメンバーらは100%の信頼を寄せているわけではない。
ある晩、いつものように他人の家に押し入って婦人を暴行しようとしたアレックスは、誤って婦人を殺してしまう。
そして、逃走しようとした時に仲間の裏切りにあいアレックスは逮捕されてしまう。
いわば、ここまでが物語の前半で、異様な美術セットや過激な暴力描写それにウォルターカーロス(後に性転換して、ウェンディ・カーロスに改名)の音楽が、映画的興奮を盛り上げます。
ここからが物語の後半となり、拘置所に入れられたアレックスは、政府が研究している人格矯正療法の被験者になることにする。この療法はいわば人間を完全無害化にさせる療法で、特殊な薬を投与されながら強制的に暴力的な映像を見せられ続ける。ついには、吐き気をもよおすアレックスだが映像は中止されない。それどころか、BGMに彼が愛してやまないベートーベンがかぶさってくる。
これによって、アレックスは暴力的感情が生まれると吐き気をもよおし、相手に対してまったく反抗できない人間になってしまう。
治療を終えたアレックスは完全な”無害人間”となって社会に復帰する。
しかし、もうアレックスには帰る家がなく、昔の不良仲間らは警官になっていてアレックスに対して暴力の限りをつくす。
傷ついたアレックスが助けを求めに訪ねた家は、かつて彼が暴行した家族の家でその家の主人は反体制の思想を持つ活動家だった。
アレックスの正体に気づいた彼は、アレックスを使い復讐をかねて反政府の宣伝材料にしようと考える。
アレックスは密室に閉じ込められ大音量でベートーベンを聞かされる。
たまらなくなったアレックスは自殺しようと階上から飛び降りようとするが・・・
管理社会への皮肉をスタイリッシュで魅力的な映像で見せてくれるキューブリック監督に拍手!
と、懐かしさに浸ってしまいました。
がちゃん。
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