汎用機全盛時代、IBM、富士通、日立が横並びのシェアをもっていました。残りのシェアをユニバック、バローズと共に分け合っていたのがNEACという名前の汎用機を出していたNECでした。富士通、日立がIBM互換だったのに対し、NECは独自のOSを展開していましたが、シェアは伸びず住友銀行(当時)はじめとする、NECが属する住友系に使われていました(使ってもらっていた?)。
NEACシリーズを止め、入出力が速いOS(実記憶方式)を搭載し、一時我々も苦戦したACOSシリーズを出して挽回を図ったものの叶わず!やはり陣容的に、先行する他社に追いつくのは無理だったようでした。そこで汎用機に見切りをつけ、パソコンに活路を見出そうとしました。98シリーズの誕生です。パソコン市場は爆発的な勢いで拡大し、これを見て富士通(FMV)、日立(FLORA、Prius)を出して追随したものの及ばず!1980年代の日本のパソコン市場はNECが席巻しました。
一方、世界ではIBMのPC/AT仕様が浸透し、この仕様の下で次々と各社がパソコンを発表。同じMSDOSだったものの、98シリーズがNEC独自仕様(Proprietary)だったのに対し、IBMはPC/ATの仕様を公開(open)しました。オープンの効果は目覚ましく、世界中のベンチャがこれに向けてのデータベース、通信、ユーティリティ、業務アプリケーションを開発したため、NEC陣営の体力ではとても敵わず、あえなく生産を終了する羽目になってしまいました。
オープンになったPC/AT仕様のパソコン、価格は一機に下がって価格破壊を起こしました。先陣を切ったのがCOMPAQ。価格は98シリーズの半値程度、個人でも入手可能な価格帯になり、パソコン浸透のきっかけになりました。98シリーズの浮き沈みをグラフにするとこんな感じです。

それから大分経ちましたが、先日、こんなニュースが配信されてきました。
「パソコンで大敗したNEC」が再び世界トップへ
営業赤字72億円のどん底から復活させた"世界最高峰の技術"
なんだと思ったら、米国国立標準技術研究所のベンチマークテストで世界1位を複数回獲得した画像認証の技術でした。2025年11月1日放送のNHK『新プロジェクトX〜挑戦者たち〜』でも、この顔認証技術実用化と世界トップに上り詰めるまでの苦労が描かれました。NECのホームページにその一旦が紹介されていました(こちら)。
4年ほど前ですが、画像解析について調べたことがあるので、簡単に紹介します。
顔に数千点の評価ポイントを設定してその特徴を抽出し、統計的に処理することで、実用レベルの顔認証のシステムが完成しました。
NECの顔認証システムは抜群の精度で世界を席巻しています。米国国立標準技術研究所のベンチマークテストで世界1位を複数受賞したことでも、その実力のほどがわかります。

ただし完全に一致しているのではなく、一定の確率を以て一致するということで、顔の整形手術を受けたり、想定外の変装をすれば、本人なのに別人として認識されてしまう可能性は0ではありません。
それを認証エラー率と言いますが、NECの顔認証システムの場合、それが1%以下ということなので、実用レベルに達していると言えます。この応用で臓器の画像も解析できます。医師の協力を得て臓器の特徴分析を行い、病変のある臓器の画像も併せて学習させて双方の違いを理解することで、病変の有無を実用レベルで検出することができるようになりつつあります。これは、読影経験の薄い医師にとっては救世主です。しかし、精度の高まった顔認証システムでも一定の認証エラーがあるように、医療画像診断にも一定の確率で認証エラーが発生します。読影経験の浅い医師が画像診断システムに丸投げして頼り切ってしまうと、正常な状態なのに異常と判断したり、その逆に異常なものを正常と判断したら、患者の生死に関わります。画像診断システムが怪しいと判断しても、医師法に基づく法的な決まりにより、最終的には医師が確定診断しなければならないことになっています。
NECは、映像から事故状況や作業進捗を自動で分析・レポート化するAIシステムを世界で初めて開発しています。先日、ソフトバンクがスポンサになって、独自の生成AI基盤モデルを構築する新会社Preferred Networksが発足しましたが、NECはホンダと共に加わっています。NECのAI技術が評価されとことがわかります。
PC98が大成功したことで、この牙城を守ろうと保守姿勢になり、Proprietaryな仕様にした咎めが、世界の潮流に乗り遅れることになり、98のガラパゴス化を招きましたが、今回はどうなるでしょう。注視したいものです。
明日(4/29)の祝日(旧天皇誕生日)から5/10までGWの大型連休、リラックスして過ごしてください。
当ブログもお休みします。その間、過去にスキャンして保存しておいた記事を眺めることにします。
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