jokegirl -10ページ目

お昼は食べない

 古い写真を持ち出して

 この頃やせてたな、とつぶやけば

 なんだかイトシイおもかげが

 やたら脳みそにまとわりついて

 もういらないからと頭を振ってもめまいだけで

 てんで消えててくれなくて

 写真は破いて捨てればすむけども

 この思い出はどうしたら削除できるんだろう

 誰かが何かをはじめてばいいよ、といったけど

 じゃ、なにすればいいの? 

 自分にきいてもわからないよ

 今したいのはあの頃にもどること

 なんら疑問もってなく笑ってる写真の自分

 むかつくけどうらやましい

 過去にはもどれないけど

 今できることみつけた

 ちょっとついた体重を

 あの頃よりもちょびっと少なくしてみよう

 そして

 趣味の合わない服を着きてみよう

 こんなことしか思い浮かばないお昼前

 くだらなく腐るよりまだマシかなと笑ってみる

どうしたらいいかわかんない

 もうやんなるくらい好き

 やめてほしいくらい気持ちがむいてる

 どうして好きになっちゃうんだろう

 いやだと思えば思うほどほしくなる

 ちがうちがうと否定しても、好き

 困る

 ホント困る

 こんなの苦しくて嫌だ

 なんで、なんでかな…

 好きな人が幸せそうであればあるほど

 自分がつらくなる

 やめてほしい

 自分の気持ち

でたらめすぎても

 なんだかやる気がないふぬけちゃん

 なんとなくしてる気でいるけども

 心がここにないっぽい

 頭でしっかり考えてなくて

 なんとなくなんとなくやりすごしてる

 間違いだらけで心もこもってなくて

 こんなんで誰が自分をちゃんと見てくれるんだろう

 きっとがっかりして去ってくね

 でも

 今はそれでもいいや

 しっぱりできない自分でいるつらさを

 自分がわかってるから

 あいまいなまま表にだしてしまってたとしても

 続けないよりはまし

 そこにでたらめが発生してても

 なんもないよりわかりやすい

 あとで間違いはなおせる
 
 そう時期がくるよ

 くる

静かなふたりの時間 7

 とてもかわいらしい声だ。

 私の知らない子みたい、このカエちゃんて人。

 両手にお重を抱えてる。なんかすごい料理作ってきたのかも。

 なにより、はにかむ感じがチャーミングだ。

 髪を耳にかけるしぐさも女の子っぽくて、雰囲気からしてかわいいぞ。

 とても柔らかな印象をうける。

 オジサンうけはよさそうだ。

 「さ、カエちゃんそんなとこいないで、入った入った。

 じゃ、のぶ、オレ帰るらー。あとよろしく。

 真由先輩、またですー。今度飲みにいきましょ」

 スグロ君はカエちゃんという女の子を家にいれて、手を上げてから、玄関を締めた。

 さっきスグロ君が”八木沢の”て言ってたっけ。

 てことは南小出身の子かな。

 なら私が知らないのもわかる。

 南小とは中学から一緒になるから、のぶと同級だとしたら、私は会ってないはずだ。

 5歳離れてるしね。
 
 おもわず私がじっと彼女を見つめていると、それに気がついたようで、もじもじしてしまった。

 こうゆうとこがかわいいんだな、この人。

「あ、ごめんね、ごめんごめん、じっーとみちゃって。

 私の知らない顔だなーと思ってさ。

 思い出そうとしても思い出せないから、ついね。

 ごめんね」

「あ、いえ。

 大丈夫です」

 カエちゃんは平気ですと、ぺこりと頭をさげた。

「ーん、知らなくてあたりまえ。

 カエは中学からの同級だら」

 やはりそうか。

 のぶが私に向かってカエちゃんを紹介してくれた。
 
 高校も一緒でバスケ部のマネージャをしてたそうだ。

 そういやスグロ君も言ってたな、バスケ部とかなんとか。

 そかそか、のぶたちバスケ部か。

 私、高校時代書道部に入ってたけども…ほとんど帰宅部だったしな。
 
 高校時代の部活の思い出がないや。

 中学時代が校則にがんじがらめになってたから高校ではけっこうゆる~くすごしたし。

 部活や体育さぼるのなんかあたりまえ、みたいにね。

 かってに運動部の部室逃げ込んでマンガ読んだりしたよなー、リナたちと。

 今思えば部活はまじめにやっときゃーよかったかも。

 根性まったくつちかわないまま大人になっちゃって、ホント苦労してるし。

 どこかでずるできないかばっか考えちゃうもんな…、だめだな、私。

 カエちゃんが私をちらちら見て気にしてるので、

「あ、私はのぶの姉みたいなもんだら。

 真由です、よろしくね」

 と自己紹介した。

 てか、のぶがついでに私も紹介すればいいのに。

 きっとめんどくさがったな、あいつ。

「あ、はじめまして、カエです」

 カエちゃんは改めてぺこりとお辞儀をしてくれた。

 のぶはカエちゃんをカウンターの椅子へ座んなよ、と案内した。
 
「あ、いい、いい。

 のぶくんのおばーちゃんにお昼ごはんもってきただけだから。

 引越しで食べれないんじゃないかな、と思って。

 昨日電話したら、お昼過ぎてからでるって言ったもんだから、おばーちゃんが。

 でもスグロ先輩がもう居ないっていうから帰ろうと思ったんだけども…

 のぶくんに食べさせればいいじゃん、て連れてこられちゃっただけなんだ

 ごめんね」

 はい、とのぶにお重を渡してカエちゃんは、

「よかったら真由さんもたべてくださいね」

 とお辞儀した。
 
 のぶはお重を受け取って

「カエも一緒に食べてけばいいじゃん」

 と、帰ろうとするカエちゃんをひっぱって椅子に座らせた。

 偉い。

 やっぱせっかく来てくれた子を追い返しちゃ男じゃないよね~

 ここは私が帰るべきだな、と思う。

 私だってばかじゃない。

 勘がさえないこともない。

 たぶんカエちゃんとのぶは付き合っている、気がする。

 もしそうでなくてもカエちゃんはのぶが好きだと思う。

 あの目はそうだ。

 女同士だもん、わかるわかる。

 私も好きな人見る目は変わるしね~。

「じゃ、私は帰るねー

 ふたりでごゆっくり~」

「真由も食ってけばいいじゃん。

 これふたりじゃ無理」

 のぶはお重のふたをひらいて私に見せた。

 …う、うまそう。

 たしかにお腹は減っている。

 朝ごはんもあんま食べずに外へでてしまったし。

 しばし葛藤したが、「いやいや帰るよ、悪いから」と言ったら、

 カエちゃんがぜひ食べてください、と私を引き止めてくれた。

「そ、そう? 

 それじゃいただこうかな」

 私が嬉しそうにのぶからお重を受け取ったら、のぶが、

「ん。

 さすが真由」

 と意味ありげに言った。

 食意地がはってる、て言いたいんだろう。

 わかってる、わかってる。

 子供時代は平気でのぶの分もよこどりして食べてた女だよ、私は。

 くそっ、のぶめ。

「てか、のぶ、子供のころから真由ねぇちゃんと呼べと言ってんじゃんか。

 たく、いくつになったら言うんだらね」

「んー、言わん。

 真由は真由」

 のぶがねぇちゃんなんか言うもんか、という顔をしたので、またちとむかついた。

 カエちゃんがいなければ頭ひっぱたいてるよ、子供の頃のように。

「ふたり、仲良いですね」

 カエちゃんがにこりと笑いながら私たちを見た。

 けども。

 あぁなんか仲良くしてるように見えるのがやなんだな、とさっした。

 わかる、女だもん。

 やっぱ関係はどうであれ、好きな人には自分以外の女と仲良くしてほしくないもんだろうなーて、思う。

 私がそうだし。

 とかいいつつ、帰らずに飯につられて居座る自分が空気読めてるとは思えないが。

 空腹とこのお重の豪華料理には勝てません。

 だって伊勢エビ入ってるし、とこぶしあるし、厚焼きの卵焼きなんかとくにおいしそうだもん。

 これは食いたいじゃんね。

「真由さん座っててください、あたし準備しますから」

 カエちゃんはキッチンにはいって小皿や箸をてきぱきと取り出した。

 のぶも手伝う。

 カエちゃんはどこになにがあるのかちゃんと知ってるらしく、のぶにお願いしながら昼食の準備をこなしてく。

 カウンター越しに、ふたりいい雰囲気を見せつけられてる気分でなんだかため息でちゃうよ。

 私も旦那がいたらこんな食事の風景をしたいものだ。

 ホント、うらやましい。

 ホームドラマにでてくる幸せそうな夫婦ってこんな感じだろうな~て思う。

 カエちゃんがたまににこにこしてのぶを見るとこなんか、すごくかわいらしい。

 のぶはあいかわらずの愛想なしな顔だけども、ちゃんと指示通り動いてて、よき旦那感でてるしね。

 もし自分が向こう側でカエちゃんの立場にいたら、たぶんのぶをあごで使ってなにもしないだろうなぁ…

 あんたやんな、とか言いそう。

 でもなー、これが好きな人だったらどうなるだろか。

 かわいい女になれるかなぁ。

「真由さん、食べれないものとかありますか?」

 さい箸でカエちゃんがお重の中の料理を小皿に移してくれている。

「あーないない、私なんでも食べるら。

 のぶはとこぶしだめだけどもねー。

 他の貝類は食べれるけども、とこぶしだけ子供の頃さ食って腹壊してから口にしないのぜんぜん。

 うちの父さんがよくとってきたんでのぶに食わせようとしたんだけども、まったく口ひらかないんだもん。

 あれはおもしろかった」

「ん」

 のぶはうんうんとうなずいて小皿と箸を私の前に置いた。

「そうなんだ、のぶくん。

 ごめん、知らなかったから入れてきちゃった」 

 カエちゃんが申し訳なさそうにのぶを見た。

「いや、ぜんぜん。

 ひとり大食いがいるから問題ない」

 のぶが私をちら見して、にやりと笑った。

 ま、否定できないので受け流そう。

「しかし、カエちゃんすごい料理だよねー。

 作ったの?」

 私はとこぶしを箸でつまんで質問した。

「いえ、私は少しだけ手伝っただけで…

 ほとんど母が…」

 カエちゃんが恥ずかしそうにうつむいたので、「あ、私も母任せだし、料理」と言ってとこぶしにぱくついた。

「うん、うまいー。

 味がいいね」

「ありがとうございます、そう言ってもらえて、母も喜びます。

母みたいにおいしい料理あたしもつくれるといいんですけども…

 まだまだ勉強中で…」 

「勉強する気があるだけましだよー

 私なんか料理する気もないし」

 あははは、と笑ったら、隣りの椅子に腰かける最中のぶが真顔で「ん」とうなずいた。

 …。

 なんかしゃくにさわったのでのぶの皿から厚焼き玉子かっさらって食ってやった。

 ざまぁみろ。

 のぶがこれ好物だってことは子供の頃からわかってるんだ。

 のぶは「むー」とうなったが、無視してやった。

 それをみてたカエちゃんがキッチンからでてきて自分の小皿から卵焼きをのぶの小皿へと置いた。

「のぶくん、どうぞ」

「あーいいいい、カエが食いな。

 オレ、これもらうら」

 のぶはまた卵焼きをカエちゃんのさらに戻して、私の小皿から伊勢エビをかっさらっていった。

「あーちょっ、おまっ、

 それ一番の私のメイン…ま、いいや。

 食え食え。

 カエちゃんがのぶのために作ってもってきたもんだしね」

「いえ、あのあたし、そうゆうことでもってきたんじゃなくて…

 おばーちゃんが引っ越すから、あの、その…」

 カエちゃんの顔が赤くなったので確信した。

 やっぱこの子はのぶが好きなのね、と。

 私はなんだかにやけてる。

 このふたりくっつけてやろうかな、と。

わかっていたけども…

 でもね だけども を くりかえし

 ごまかしながらきたけれど

 もしかしたら ひょっとする と なんて

 どこかで期待もしたけども

 やっぱり叶わない

 自分じゃ無理だ

 まったくあいてにしてもらえる気配すらない

 よくわかってたのに

 なんだか心が崩れだして

 ひっしに抱えて支えてるけど

 もう自分ひとりじゃどうにもできないみたい

 どんどん隙間からこぼれおちてく

 押さえつけても押さえつけても

 ひっしになっても壊れてくよ

 どこかに隠れなきゃ

 しばらくなにもできやしない

 どこかに隠れて

 立ち直るまで

 なにもできない

 したくない

 ごめんなさい

 ごめんなさい
 
 もう見失いかけてる心のカタチ