母を想う | 言葉にしたいこと

言葉にしたいこと

日々感じたことを徒然に言葉に残していきたいと思ってます。

2004年からブログを綴っています。ブログ内容はその時々で。
2022.8 〜
急性骨髄性白血病を発症。 夫と2009年生まれの娘の3人家族。自身の闘病生活を綴っていきます。


もうすぐ母の日。


さてとお手紙でも書きましょうと、書き出したのは往復ハガキ。

歳とった母へ送る手紙は往復ハガキ。なぜなら、返事が欲しいから^^

質問形式にして書かせるの、ボケ防止にもなるかなーって。





入院先からは出せないので、土曜日に見舞いに来てくれる夫に託し、ポストへ。


「いつ届くかな…」と母に想いを馳せていたら、だんだんと悲しくなってきちゃって。


大病してしまい、いつまでも心配をかけている私。こんな歳になっても世話焼いてもらってる。

情けない。

申し訳ない。



時折「お母さんお母さん」って口に出したくなるくらい悲しくなるんだよね。


自分もお母さんなのに。






少し前の日記を想うことあり残しておきます。



*****2019.5月



 

娘っ子小4さん、このところ寝る前になると

「耳がごろごろする。おかあさん、耳かきして」

と甘えた声で言ってくる。

 

 


あまりお耳の状態が良くないのか、

耳かきを熱望する娘っ子。

 



耳かきのしすぎは良くないことはわかっているけれど、娘っ子が喜ぶから、ついつい「いいよー耳かき持ってきてな」と。

 



やってると夢中になっちゃって、

一粒も耳垢を残したくなくて、

ついついゴリゴリ掘ってしまう私。

 



「おかあさん!イタイ!」


 

そしたら、先日、

「おかあさん!耳から血がでたよ!どうしよう!!」

なんて言うもんだから、

(あぁ、私の耳かきのせいだ!)

その日のうちにと仕事帰りに耳鼻科へ滑り込み。

 



 

診ていただくと、

やっぱり単なる耳かきのし過ぎ!

お耳の状態は悪くなかったようでした(ホッ)

 

 



「耳かきはしないで、プールが始まる頃にまた来てください」

 



お医者様からそう言われ、

母子ともにシュン・・・となり帰宅しましたとさ。

 



 

ところが、

翌日の夜、お布団に入って各自読書をしていると、

 



「おかあさん…、耳かきして。なんだか、かゆいんだもん」

 



「いや、ダメよ。我慢!」

 


「だって、かゆくて眠れないんだもん」

 


「いや、おかあさんはね、耳かきはもうしないことにしたの」

 


「でも、おかあさん…」

 

・・・




娘が目に涙をためているのを見たらね、

 

甘チャン母さんは

 

ついつい耳かき棒を手にし・・・

 

 

なーんて


そこまで甘チャンではないわー。


 

「眠くなるとかゆくなるんだと思うよ。

おひざに来てごらん」

 

 

お耳の入り口を

くるくるりん。

 


くるくるして、

 


お耳の裏側も

こしょこしょこしょ。

 

「ほぉら、もうかゆくない。おやすみ~」

 



満足したのか、

娘はまた読書に没頭、

そしてすやすや・・・



 




 

*********



 

娘の耳をくるくるしてたら、

母親に耳かきをしてもらった記憶が蘇る。


 






 

「耳かきをして」って、

母親に最後に言ったのは何歳だろう。


 

 

働き者の母親で、会社勤めから帰ると農業もして家事もして、夕食後は酔っぱらって早々と寝息を立ててる父のそばで、父のYシャツをアイロンしていて。

 




母がゆっくりくつろいでいる姿は記憶にない。

 




兼業農家で忙しく働き、子ども3人と向き合う時間なんてほとんどなかったんじゃないかな。

 



そんな忙しい母に、耳かきをしてもらえる日があると嬉しくてね。

 



姉妹3人、順番に耳かきをしてもらうの。

 


「早く私の番がこないかなー」

って、


すっごく待ち遠しくて。

 

 


「おねえちゃの耳かき、長い!」



早く私も耳かきしてほしいから、口げんかも始まる始末。

 



早く耳かきしてほしい。

 


早くおかあさんの膝にごろんとしたい。

 




「はい、次はひろこの番だに」

 

やっと耳かきが始まった。

 




はー

ふー

ほー

 



なぁんて気持ちがいいんだろう。

 



母の膝に頭を乗せて母の匂いを感じ。

 



たまに大きな耳垢が取れると

「ほれ、こんなに大きいのとれたに」

って目の前に見せてくれて。

 



なんだか


恥ずかしいような


でも


誇らしいような。

 

 





片側の耳が終わると

「えー?もう終わったの?」

 

もっとかいてほしくて悪あがきをする。

 



 「もっとあるでな、ごろごろするもん。

  もっと奥のほうまでかいて、よく見てみ。」

 




もう片ほうの耳かきが始まると、

終わりが見えるから、

なんだか悲しくなる。

 



 

「まだある」

 

「もうないに」

 

「よこのほうにある」

 

「もうほんとにないに」

 

「じゃあ最後にくるくるして」

 



耳かきの棒についているほわほわみたいな物で、お耳をくるくるりん。

 



耳の外側もほわほわほわ。

 



「ハイもうおしまい!」

 



(あーあ…)

 



気持ち良くて

もっとやってほしくて。

でも

もう

妹の番になっとる。

 

 


妹はいいな、


最後だもんで長く耳かきしてもらっとる。

 




妹の耳の中を一緒に覗き込んでは、

「もうないに。おしまいだに」

といじわる言ったり。

 





妹をわざと笑わして

「耳かきしとるときは動いちゃいかん!」

と母に怒られて。

 




最後はしょんぼりな三姉妹の真ん中っ子。

 




自分の指で、

耳の中をくるくるして

悲しくなって

寝床に入ったっけ。

 

 


 

 

 

耳かきをしてほしくてね。


 

母の膝にごろんとしたくてね。

 






母の匂いに包まれたかったのかもしれません。






おかあさん

おかあさん

おかあさん






声にしてみたいけど出せない夜