入門者 | 八光流 道場記

八光流 道場記

京都で約30年、師範をやっております。
つれづれなるままに書き綴ってまいります。

八光流柔術の体験見学会を開催したが見学に来たのは、中学三年生の少年とその父親の一組だけだった。


昨今 見学者が減っている中一組でも見学者が有ったのは、収穫有りと思った方が良さそうだ。


父親は、少年の付き添い兼見学のみで少年は少し練習に参加した。


少年に座り技を幾つか体験させてやろうと思い先ず八光流の座り方を教えてみたら驚いた事にこの少年は正座が10秒持たない。


「正座に弱すぎだ」とおれが笑うと少年は「正座なんてした事ない」と言う。


養護施設の指導員をしている弟子の話によると今は、正座は虐待の一つなのだそうだ。


とにかく 現代じゃ罰を与える事は厳禁で愛の鞭何て言葉は死語になっている。


その点おれなんざ自慢じゃないが中学生の時1日の内に4回罰を受けた事がある。


因みに罰の内容は、朝から職員室の前に30分立たされ午前の授業中に水の入ったバケツを2個持って廊下に20分立たされ昼休みに便所掃除をさせられ午後の体育の授業で校庭の雑草抜きをやらされた。


全てそれなりの原因は、おれにある事だが今なら問題になるところだ。



正座に弱い中学生が、おれの道場に入門する事は無さそうだと思っていたら見学会の翌日少年の父親から息子の入門希望の連絡があった。


「本人の意思ですね」と確認したら「勿論です」と父親は言った。


と言う事で中学生の入門が決まった。


正座が虐待と言われる時代の中学生をかつて1日に4回罰を受けたおれが柔術を教えるのも何かの縁と言う事かも知れないが今は、この中学生が長続きする事を期待している。