指圧と心的作用 | 八光流 道場記

八光流 道場記

京都で約30年、師範をやっております。
つれづれなるままに書き綴ってまいります。

皇法指圧は、爪を立てざる指先に八光流の極意「心的作用」を集中し主に経絡に痛覚刺激を与えて治療する。


指圧の際に指に掛かる負担は大きい。


おれは、手指がきゃしゃなので長年指圧を生業にして来てやはり指を傷めている。


大柄な患者を立て続けに治療した後はドアノブが回せない程指が痛む。


指の痛みが酷い時は、真剣に整体稼業を辞める事を考える時もある。


出来る限り指に負担を掛けずに治療するには指先に「心的作用」を集中し狙った部位にぶれないように刺激を送り込むしか無い。


おれは、その為の修業を重ねて来た。


治療技術と治療の為の手と指は、師匠の厳しい教えでおれの物に出来た。

「心的作用」もマスターした。


治療に於けるこの心技を最大限に引き出すのは患者からの「ありがとう」と言う心からの一言だ。


その一言が、おれの指の痛みを和らげてくれる。

時には、消し去ってくれる事さえもある。


そしてそんな時おれは、自分の手を見詰めて「大丈夫まだやれる」と自分に言い聞かせるように呟く。