ダークヒーロー イン・ザ・スクール (46) | 八光流 道場記

八光流 道場記

京都で約30年、師範をやっております。
つれづれなるままに書き綴ってまいります。

おれは、カツアゲ中学生が逃げそうだったので そいつの手首に八光流四段技の雅勲を掛けて物陰に連れ込んだ。


おれは、この中学3年生がかなり大柄だったので暴れると厄介だから絶対に逃がさない手段に出た。


「イテテッ!放せコラッ!」と喚くのを無視して「何でこいつを狙った?」と聞いた。


結局それ程深い考えも無く適当に生意気そうな小学生に絡んで金をせびってみたら小学生が金を出したので貰ったとの事だ。


そこまで話した所で再び「放せやオツサン!」暴れ出したのでおれは奴の腕を背中に捻り上げ膝裏を蹴ってひざまずかせて「下手に暴れるとお前の腕がヤバい事になるぞ 素直に謝って金を返したら学校にも警察にも黙って置く」と言うと観念したのか抵抗しなくなった。


そしてカツアゲ中学生は、その場で謝罪しポケットから財布を出し千円札を返した。


おれは「よし二度とバカな事するなよ」と叱り置いてから4年男子を連れて学童に戻った。


指導員の一人が「どうでしたか?」と心配そうに聞いて来た。


おれは「おやつ代取り返しました」と指導員達が見ている前で被害者の少年に千円札を返した。


ところが、一件落着と思ったら指導員達とカツアゲされた少年が揃って怪訝な顔になった。


「どうしたんです?」と聞くと指導員が「この子が取られたの五百円ですよ」と心配そうに言った。


そう言えばおれは、カツアゲされた金額を聞いてなかった。


おれが「ああ もう面倒くせぇ この際多めに貰っとけ」と言ったら


「あんたこれって逆恐喝やんか」と年輩の指導員が困り顔で言った。


「人聞き悪いなぁ分かりました お釣り渡して来ます」

おれは、さっきの中学生がまだそんなに遠くへ行ってないと思ったので学童の金を五百円掴んで奴を追い掛けた。


カツアゲ中学生は、おれが後ろから走って来るのを見て反射的に逃げそうになった。


おれは「逃げるな!忘れ物だ」と何とか中学生を引き止めて「お前なぁ自分がカツアゲした金より多く金返してどうする」と五百円を手渡した。


奴は、その時「へへへ」と少し笑ってお釣りを受け取った。


「オツサンもしかして学童の指導員か?」とあいつが聞くので「一応な」と言ったらあいつは「全く指導員らしくないけど何か面白い」と笑った。


「フンッ 大きなお世話だ」とおれも笑った。