友は居たのか? (前編) | 八光流 道場記

八光流 道場記

京都で約30年、師範をやっております。
つれづれなるままに書き綴ってまいります。

おれは、子供の頃から友達付き合いが苦手で気の合わない奴とは全く寄り付く事も寄り付かせる事も無かった。


おれは、学校以外では大抵一人切りだったが、それはそれで飼い犬や野良犬と気楽に過ごしていた。


おれが小学五年の夏休みが明けた頃 学校から帰宅すると隣家のブロック塀の上に見知らぬ少年が立っていた。


少年は、おれと同じ歳位で体格もおれと同じように小柄で痩せていた。

 

おれは、その少年に「何やってるんだお前?」と聞いた。

少年は「何って別に」とだけ答えて塀の上を2、3歩歩いたかと思ったら突然おれの前に飛び降りて来た。


高さ2m位のブロック塀からいとも簡単に飛び降りた少年に対しおれは飛びのいて身構えた。


「おぉっ 何か犬みたい」とそいつは、おれの動きを見て驚いたように言った。


「お前こそ猫みたいに身軽な奴だ」とおれは言ってから「何処から来た?」とその少年に聞いた。


そいつは「この近所に引っ越して来た」と言ったが、おれの知る限り近所に引っ越して来た気配は無かった。


おれは、怪しい奴だと思ったが、何と無くこの少年が気に入ったので暫く行動を供にする事にした。



後編に続く