誰かに似た奴(前編) | 八光流 道場記

八光流 道場記

京都で約30年、師範をやっております。
つれづれなるままに書き綴ってまいります。

おれが師範になって10年位経った頃 オーストラリアで合気道を習っていたと言う青年が、おれの道場にやって来た。

この男を初めは、黒帯の弟子が相手をしていたが その弟子の技が彼に通用しない。
全ての技じゃないが掛からない技が幾つもある。

おれの道場の黒帯はレベルが高い。体験見学者にこれほどまで手こずるのは珍しい。

「ふぅーん やるねぇ」とおれは、この青年の動きに興味を持った。
おれは、黒帯の弟子に代わって手強い見学者の相手をする事にした。

確かに掛け辛い独特な抵抗力を感じた。
おれは、それまでに何人も合気道の有段者と練習した経験はあったがこの男は何かが違っていた。

続いて八光流の目潰しを見て彼は「こうですか?」と物凄い勢いでおれの構えた手に目潰しを放って来た。

おれの掌がビシッと鳴った。
その目潰しを受けたおれの手は、ビリビリ痺れた。


後編に続く