今さらだけど、読んでみたら面白かった。
みなさまご存知、アニメにもなった「赤毛のアン」の完訳版。
男の子を希望していたカスバート家へ孤児院から手違いできてしまったアン。最初は空想癖とおしゃべりの多さで怒られることが多かったが、成長するにつれ周囲がだんだんアンの存在に魅了されていく。成績優秀で大学への奨学金も獲得するのだけど……というストーリー。
十代のころに読んだ村岡花子訳の赤毛のアンは、空想好きでよく喋る女の子が、ちょっとした事件を起こしたり、友情をはぐくみながらステキな田園生活を送る…という(勝手な)イメージだった。
今回読んだ松本侑子訳は、省略ナシの完訳版のせいか、自分が年を重ねたせいか、「これ、ちょっと笑える小説なんじゃない?」という印象を受けた。
まず感情移入する先が、主人公のアンではなくて、カスバート家の主婦マリラになっていた。子育て経験のない中年の兄妹家族が、急に11歳の女の子を育てるには決心がいったと思う。
マリラが言った皮肉を、皮肉と気付かずに真正面から打ち返してくるアン。親友が結婚したら、今みたいにおしゃべりができなくなることを、この世の終わりみたいに嘆く11歳にウケるマリラ。これって、笑うとこなんじゃない?と思う箇所がいくつもあった。