言うことを聞く会計事務所は、良い会計事務所なのか? | 起業・創業支援-東京都の公認会計士・税理士@渋谷区・新宿区

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創業直前~創業5年くらい経理、税金とか全然わからない「あなた」のためのブログです

会計事務所もサービス業です。

だから、お客様のご要望には、できる限りお答えしないといけません。


でも、お客様の全ての要望を聞く会計事務所が、良い会計事務所なのか?

というと、実は、そんなことはない、と思っています。


先日、こんなことがありました。

とある社長さんからお問い合わせを頂き、
お伺いしました。

どうやら、
今、頼んでいる税理士さんの変更を検討されているらしいのです。


その会社は、従業員数5名くらいの会社でした。


いろいろ話を聞いていたのですが、

なにげなく、横を見ると、
「就業規則」と書かれている紙が置いてありました。



イヤな予感がしたので、聞いてみると、


・社長が、就業規則を作りたいと思った

・「会計事務所にひな形はないか?」と、相談したところ、
 会計事務所の担当者がひな形をもってきてくれた。

・そのひな形をベースに会社で就業規則を作った


という流れで、就業規則を作ったのだそうです。

皆さんは、この会計事務所の対応、どう思われますか?


お客様のご要望に答えてますから、
決して悪い対応には見えないと思いますが、、、



▼でも、私ならば、

「就業規則を作りたいから、ひな形探してくれない?」

と聞かれたら、

「そもそも、就業規則を作ること自体おすすめしません。

 さらに、就業規則をひな形から自力で作るのは、
 絶対におすすめしませんので、
 ひな形は、お渡ししません。

 理由があって、
 どうしても作りたい、ということであれば、
 数十万円の出費を覚悟して、

 専門業者(=腕の良い社会保険労務士)に頼んでください。
 もちろん、紹介もできますので、必要があれば、声をかけてくださいね。」

とお答えするところです。


表面的には、
お客様のご要望に逆らっているようにも見えますが、
この対応が一番お客様のためになる、
と思っています。



▼いったん、
就業規則を作ってしまうと、
良くも悪くも、会社が就業規則に拘束されてしまいます。

特に、
何も考えずに、
従業員に甘い就業規則を作ってしまうと、
会社の負担となってしまいます。

安易に作ると命取りになってしまいます。



私が見せていただいた就業規則には、
ぱっと見ただけで、

・退職金を支給する定めがある
  →元々、退職金の支払い義務はありませんが、
   就業規則に定めることで、退職金を支払わないといけなくなります。

   退職金の支払いは、何年か後にやってきますので、
   そのとき、会社の業績が傾いていたりすると、、、
   負担感は相当大きいです。


・残業代を労働基準法で定められた金額以上に支給する定めがある
  →これも、敢えて就業規則に定めなければ、
   法律で定められた割増率だけの支払いで済むところです。

   ところが、
   就業規則に書いてしまったせいで、
   高い残業代を払わないといけなくなってしまっています。


といった感じで、
会社に不利な条項が並んでいました。


想像ですが、
ぱっと見だけで、これくらい出てきましたので、
じっくり見れば、もっと、雑な条項がたくさん出てくるのではないか、
と思います。


たぶん、元々の雛形に、
そういう条項が入っていたのを、
そのまま使ったのだと思うのですが、
結果として、法律以上の義務を背負い込んでしまっています。



特に、
この会社の場合は、
従業員が5名程度でしたので、
就業規則を作る義務はない会社でした。


就業規則を作らなければ、
退職金の負担義務も背負い込まないで済みましたし、
残業代を多い目に払う義務も背負わないで済んだのです。


それなのに、
適当に、就業規則を作ってしまったばっかりに、
これらの義務を負う羽目になってしまいました。




▼今回の件は、会計事務所の対応を責めるのは酷だとは思います。

会計事務所の担当者の方は、
単に、会社のご要望に答えただけなのですから。

これはこれで、
こういう会計事務所と相性が合う会社もあるのだと思います。


今回のケースでも、

会社は余計な負担を背負い込んでしまいましたが、

 社長は、「就業規則を作る」という目的を達成できてハッピー!

会計事務所も、お客様の要望を聞けてハッピー!

で、
関係者が皆ハッピー!

という状況だったので、
悪くはないのかもしれません。

 


でも、私のスタンスは違います。

お客様のご希望と、私が「良いと信じること」が違う場合には、
まずは、私の意見を提案をさせて頂きます。


そのうえで、
お客様に対応を決めて頂きます。


ですから、
「本当に会社のためを思ったアドバイス」
が欲しい、というお客様には、
私の事務所は、とても、相性が合うと思います。


逆に、
何も考えずに、
なんでも言うことを聞いて欲しい!
というお客様との相性は、
イマイチなのかな、、と思います。




このように、会計事務所の対応は、千差万別です。

世の中には、いろいろな会計事務所があります。


これから、会計事務所を探そう、という方は、
ぜひ、自分に合う会計事務所を見つけてくださいね!