ブッちゃん 1 | ミータの愛猫物語(連載)

ミータの愛猫物語(連載)

愛するにゃんこ達との悲喜こもごもを綴ります。

 ブッちゃんとの出会いは20年前にさかのぼる。

 拙書「ミータ」(書肆侃侃房) にも書いたことだが、

ブッちゃんはミータの子だ。野良猫ミータの2度目のお産で

生まれた、4兄弟のなかの唯一の雌猫だった。ミータが

どこかで産んだ子供たちの目が明いて歩けるようになってから、

うちの隣の家に連れて来た。

 日曜日の朝、私と夫が家にいるとき、リビングの前の庭を

子供たちを連れて通って行った。

 「連れてきましたよ」と私たちに知らせているみたいだった。

 隣家の勝手口の、色々と物を置いているところに子供たちを

隠したようだった。

 その頃は私も仕事などで忙しく、あまり気にかけてもやれな

かったが、ミータには朝晩餌をやっていた。そのうちミータが

子猫たちを連れてくるようになったので、お皿を大きなものに

替えて、量を増やしてやるようにした。

 餌の入ったお皿を置くと、子猫たちがワッと集まってくる

のだが、その中にいつも三毛の雌猫がいなかった。その子は

いつも私たちを警戒して庭木の下に隠れていて、呼んでも

お皿をすぐそばに持って行っても絶対に出てこようとは

しなかった。そのうちにお皿の餌はお兄ちゃんたちに食べられて

しまっていた。

 私たちがいると出てこれないので、お皿を置いたらすぐに家の

中に入るようにして、そっと窺っているとおもむろに出てきて

食べ始めるのだが、いつもその頃にはあまり残っていなかった。