儚月の詩  -7ページ目

儚月遺作 赤い花 Ⅴ

何も言わず
赤い花束だけを
届けよう

別れの訳など
おたがい
言いたくない

別の誰かと
はじまる愛など
知りたくない

時がたてば

赤い花が
すべて
語ってくれるだろう



(故儚月のノートより)

儚月遺作 赤い花 Ⅳ

あなたには
赤い花が似合う

王子様のように
渡したかったけれど

ぽんと
無言で渡した

僕にとっても
あなたにとっても

初めて
胸に赤い花を咲かせて

はらはらと
散らせた

悲しくても
かけがえのない
日々だった



(故儚月のノートより)

儚月遺作 赤い花 Ⅲ

心の中に咲いた花

小さくても
懸命に

短くても
美しく

ひたすらに
燃えるように



赤い花が散ったか



(故儚月のノートより)

儚月遺作 赤い花 Ⅱ

何気なく歩いた街

小さな赤い花束

白いカップに挿して
ここにいる

赤い花びらが
咲いても
散っても

想い出は
夢は

幼い恋は
遠い愛は

いつも
胸に


(故儚月のノートより)


儚月遺作 赤い花 Ⅰ

南国に咲く
赤い花のように

華やいで
燃えた心

生き生きと
明るい日々

今は
落ちぶれて
孤独の中にあっても

そっと
赤い花にくちづける



(故儚月のノートより)