先日埋葬に伺ったお墓は結構昔に建てられたものでした。
全体に目地切れや外柵の羽目にずれがありましたが、入り口右側のこの部分が特に気になりました。
階段の右側の部材が剝がれてしまっていて固定されていません。
埋葬後に蓋の隙間を目地したセメントの余りで簡単に補修しておきます。
まずは接着面を清掃します。
それで剥がれた理由がわかってきました。
とりあえず清掃完了。
上階段の上面も同じ磨き仕上げでした。
問題はこの垂直面。
よく見ると下階段の垂直面には申し訳程度のザグリがありました。
はずれた部材の垂直面を確認すると、ザグリがありました。
上階段にのっていた部材の底には小さくザグリがありました。
このザグリは、部材の接合面に加工しておいて、間にモルタル(セメント砂を混ぜて水で溶いたもの)を流し込みます。
硬化し接着完了すると、お互いの部材の引っ張り方向以外の力には耐性ができるという仕組みです。
さらにもしも接着が剥がれてもずれにくくなります。
当時、ザグリは部材の底については各社色々と考えがあったかと思いますが、垂直面同士の接合面については接合面を荒く仕上げてザグリを入れ隙間にトロ(モルタル)を流し固めた後、周囲をセメントで化粧目地するのが正解だったと考えます。
もちろんザグリを入れていない石材店もあったと思うので、それはそれはその会社の考え方ですから間違っていると断言はできません。
ですが、このお墓についてはザグリを入れることがわかっている(重要性やその目的がわかっていなかったのかもしれませんが)のに、設計がいけないのか加工がいけないのか、とにかく不十分であり、さらに現場での施工もモルタルを完全に流し込むわけではなく隙間があり、何もかもが不十分です。
手抜き工事に間違った設計・加工。
これではお客様がかわいそうです。
しかしながら今回の補修は代金を頂いているわけでも補修を依頼されたわけでもなかったので、セメントを柔らかく溶いたもので接着するだけにとどめました。
もしもこの状態で強力な接着剤を使用してしまうと、今後全面的なリフォームをされる場合にやりにくくなってしまうので見た目だけ元に近いように戻しました。
今回の補修は埋葬をご依頼いただいたサービスですので0円ですし、補修したことをお客様にも特にお伝えしておりません。
次回の埋葬ができるだけ先になるように、カロート(納骨室)の蓋の目地もしっかりとやらせていただきました。
皆様が末永くご健康でいらっしゃることをお祈りしております。
担当 岡田
※なお、皆様に申し上げますが、もしもまだ数年でお墓の部材がズレたりした場合は、すぐに建墓工事をお願いした石材店様にご連絡をお願いいたします。
保証で無料での補修が可能な場合があるかと思います。
その際にご自分で補修したり、建墓した以外の石材店に何らかの作業(埋葬を含めて)をご依頼された場合は、その保証が切れてしまって有料になってしまうことが御座います。
まずは建墓した石材店様にご相談なさってください。