NASCAR第18戦:ポコノは、バージニア州ロングポンドのポコノレースウェイで行われる「Pocono Organics CBD 325」。去年に続き、2日連続の開催。2.5マイル(4.023キロ)を130周(325マイル/523.037キロ)を3ステージ制(25+52+53LAP)。フューエルウィンドウは、42~45LAP。
ポコノレースウェイは、3つのターン、3つのストレートという特殊な形状に加え、ターンが14度、8度、6度と徐々に浅くなり、メインストレートから、ロングポンド・ストレート、ショートストレッチと短くなっていく。ロードコースに近いオーバルトラックと言われ、トリッキートライアングルと呼ばれる。
最多勝は引退したジェフ・ゴードンとデニー・ハムリンの6勝。シーズン2レースの間隔が短い事でもよく知られているが、オリンピックがどうなるにせよ、来年以降、2日連続開催から、どう変わるのか。かつては2レースとも500マイルを走ったが、2012年から、(NASCAR全体の傾向であるとは言え)400マイルに短縮されている。
PPはカイル・ラーソン、2位はウィリアム・バイロンのヘンドリック2台のフロントローでグリーンフラッグ。ラーソンがリード、ジョーイ・ロガーノ、ロス・チャステイン、バイロン、ケビン・ハーヴィックが続く。5LAP、バイロンがラーソンを抜いて、リードチェンジ。
9LAP、カイル・ブッシュがハーヴィックをパスし、4位に浮上。その直後にデブリで初のコーション。チャステインは7位にポジションを下げている。チャステインを先頭にリードラップカーがピットイン。バイロン、ラーソンらトップ勢はステイアウト。12LAP終了後に予定されていたコンペティションコーションは相殺され、13LAP、バイロンとロガーノのフロントローでリスタート。バイロンがリード、ラーソン、ロガーノ、カイル、デニー・ハムリンが追う展開。
14LAP、コール・カスターの斜め後ろにいたブラッド・ケセロウスキーが進路をインサイドに変え、カスターは弾かれるようにアウト側のウォールにクラッシュ!トラックを横断するようにイン側のウォールまで走って止まった。カスターは、セーファーウォールと運転席の間からマシンを出て無事で、観客席から拍手が起きたが、フロントはまた完全に潰れている。
貰い事故で気の毒ではあるが、SHRとしては頭が痛いところだ。これが2回目のコーション。18LAP、バイロンとカイルのフロントローでリスタート。バイロンがリード、カイル、ラーソン、ハーヴィック、ロガーノが続く。カイルがバイロンを捉え、トップに立つ。
カイルがバイロンを抑え、やや遅れてラーソンが続く。今までにあまりなかった展開だ。23LAP、エリック・アルミローラ、アレックス・ボウマン、クリストファー・ベルの3台がピットイン。カイルはラーソンとの差を0.820秒、ラーソンとは2.473秒に引き離している。
カイルがそのままステージ1を制し、バイロン、ラーソン、ロガーノ、ハーヴィック、ハムリン、カート・ブッシュ、ダニエル・スアレス、オースティン・ディロン、タイラー・レディックのトップ10。カイルを先頭にリードラップカーがピットイン。2タイヤでライアン・ブレイニー、マット・ディベネデット、マーティン・トゥレックス・ジュニアが飛び出し、カイルの前に出る。5(30)LAP、ロガーノ、レディックのフロントローでリスタート。
ロガーノ、レディック、カート、ライアン・ニューマン、ケセロウスキー、エリック・ジョーンズがステイアウト。トップ3台はスタートから交換せず、ニューマン、ケセロウスキーは2回目のコーションのピット組、ジョーンズはステージ間コーションでのフューエルオンリーと戦略が違う。
ロガーノがリード。カート、チャステイン、ブレイニー、トゥレックスが続く。16(41)LAP、レディックがピットイン。21(46)LAP、ロガーノ、カートのトップ2台がピットへ。ピット勢では、ラーソン、バイロン、カイルが8~10位に浮上してきている。
26(51)LAP、トップのチャステインがブレイニーに0.621秒差をつけトップをキープ。トゥレックスは1.911秒、バッバ・ウォレスが6.401秒、ケセロウスキーは6.746秒差。その後ろにピット勢トップのラーソンが付けている。28(53)LAP、ライアン・ニューマンが単独スピン、4回目のコーションとなる。
チャステインを先頭にリードラップカーが一斉にピットイン。バイロン(+7/2)、チャステイン(-1/4)、ラーソン(+2/4)、ブレイニー(ー2/4)、トゥレックス(ー2/4)のトップ5。ウォレスが4ポジション落として8位なのと、逆にエリオットは4ポジション上げて10位になったのが目を引く。一部のステイアウト勢を除けば、ポジションはリセット。
カイル、マイケル・マクダゥエル、カート、ロガーノ、レディックの5台がステイアウト。33(58)LAP、カイル、カートのフロントローでリスタート。カイルがリード、カート、マクダゥエル、バイロン、ロガーノが追う展開。35(60)LAP、コリー・ラジョイがアンソニー・アルフレードとのコンタクトでウォールにクラッシュ!
ラジョイは右リアにヘビーダメージ、アルフレードもピットでリペア中。これが5回目のコーション。カイル、カート、マクダゥエル、ロガーノ、バイロンのトップ5。39(64)LAP、カイルとマクダゥエルのフロントローでリスタート。カイルがリード。カート、ロガーノ、マクダゥエル、バイロンが続く。
44(69)LAP、カイルがカートに2.190秒リードし、依然トップ。ロガーノは2.998秒、バイロンが3.820秒、ラーソンは4.347秒差のトップ5。45(70)LAP、チャステインが単独スピンし、ウォールにクラッシュ!トラックに戻ってから、マシンのコントロールが出来ずに再度スピンし。6回目のコーション。
カイル、ハーヴィック、ディベネデットらがピットイン。カイルはステージ2を捨て、ファイナルステージに賭けた形になった。カート、ロガーノ、バイロン、ラーソン、ブレイニーのトップ5。カイルは15位リスタート。51(76)LAP、カートとバイロンのフロントローでリスタート。
カートがリード、ロガーノ、ラーソン、ブレイニー、バイロンが続く。ファイナルラップ、ラーソンがサイドドラフトでロガーノを抜いて2位に浮上。カートが、そのままステージ2を制し、ラーソン、ロガーノ、バイロン、ブレイニー、ハムリン、トゥレックス、ボウマン、カイル、ケセロウスキーのトップ10。
ステージ間コーションを上位勢はステイアウト。残り1ストップで行くつもりか?82LAP、カートとバイロンのフロントローでリスタート。カートがリード、ラーソン、ロガーノ、バイロン、ブレイニーが続く。ラーソンがカートをパスし、リードチェンジ。90LAP、トゥレックスとハーヴィック、ベルがピットイン。
フューエルウィンドウでは、セーフティだがいずれも2タイヤっぽい。フルブレーキのポコノでタイヤが持つだろうか?遅れてのロガーノが入ってきた、こちらは4タイヤ、アルミローラはトップオフだ。タイヤ大丈夫だろうか?
この後に次々とトップグループがピットイン、バイロン、ブレイニー、93LAPにはトップのラーソンがピットイン。コンサバに4タイヤチェンジだ。ボウマン、カートもピットイン。繰り上がったのはハムリン、カイル、マクダゥエルのトップ3。98LAP、カイルはフューエルオンリー。このまま走り切るつもりだ。
100LAP、ハムリンがマクダゥエルに13.601秒の差をつけ、依然トップ。レディックは13.874秒、エリオットが14.429秒、クリス・ブッシャーは14.687秒のトップ5。最後まで走り切れるドライバーはいないから、実質上のトップは31.714秒差のカイル。その後ろには4タイヤのラーソンがいる。
105LAP、マクダゥエルにリードチェンジ。カイルは5位でラーソンは6位。ステージ間コーションでのピット勢が入っているのだろう。カイル、ラーソン、ボウマンらが大分繰り上がってきた。107LAP、デブリで8回目のコーション。ステイアウト勢はこのコーションに救われ、ピットイン。上位勢はステイアウト。
カイル、ラーソン、ハムリン、ボウマン、バイロンのトップ5。上位をJGRとヘンドリックが独占。112LAP、カイルとボウマンのフロントローでリスタート。ボウマンがリード、カイル、ラーソン、ブレイニー、ハムリンが続く。113LAP、ラーソンがカイルを捉え、2位に。4連勝を視界に捉える。
ラーソンのオンボードから見えるボウマンとの緊迫の接近戦。息を飲むのは観客だけじゃなく、ボウマンのクルーもそうだ。チームメイト同士のバトルを見守る。127LAP、サイドドラフトを仕掛け、ラーソンが遂に前に出る。ラーソンが徐々にボウマンを引き離して、ファイナルラップ。勝負は決まったかに見えた。
ファイナルターンに入る直前にラーソンの左フロントタイヤがバースト。ウォールにヒット!ボウマン、カイルらが、すり抜けていく。そのままボウマンがレースを制し、リッチモンド、ドーバーに次ぐ今シーズン3勝目。通算5勝目となり、ヘンドリックモータースポーツとしては、第13戦:ドーバー以来、6連勝となった。
カイル、バイロン、ハムリン、ブレイニー、カート、ロガーノ、ハーヴィック、ラーソン、ケセロウスキーのトップ10。11位レディック、12位エリオット、13位ダニエル・スアレス、16位アルミローラ、17位ベル、18位トゥレックス、24位チェイス・ブリスコー、32位ディベネデット、33位チャステイン、38位カスターと言ったところ。
4連勝を目前にしたラーソンは、満身創痍で9位フィニッシュ。5勝目は逃したが、45ポイントを獲得。4位だったハムリンが43ポイントだったことで、ポイント差を2詰めて8ポイント差とした。レギュラーシーズンポイントでトップに立つ日は近い。次のポコノかもしれない。ここまでドラマがないとラーソンには勝てない、と思わせたポコノ325だった。