フェリペ・マッサがミハエル・シューマッハの“最後の”チームメイトになって以来、2012年に7年目のフェラーリでのキャリアを迎える。
以来、マッサはライコネン、アロンソというF1チャンピオンのチームメイトを務め、シューマッハを除けば、フェラーリで最も長いキャリアで走るドライバーになる。ただ、シーズン中に2011年で契約が打ち切られるのではないかと云う憶測が流れるほど、マッサのレースでの存在感は薄く、度重なるハミルトンとの接触ばかりが話題になった。
フェラーリのマシンの戦闘力が、トップを行くレッドブル、マクラーレンに後れを取っているのは確かなものの、アロンソが、優勝を含む、ポイント争いで2位を競っているのに対して、マッサは表彰台がおろか、メルセデスGPにも後れを取ることも度々。
チャンピオンマシンに乗りながら、優勝のないマーク・ウェバーと共に、厳しい立場に立っているのも事実。
多くの人が指摘するのが、2009年ハンガリーGP予選での“事故”の悪影響。前方を走行するルーベンス・バリチェロのマシンからサードダンパーのスプリングが外れ、マッサの左前輪で跳ね上げられヘルメットを直撃した衝撃で、マッサは意識を失いそのままタイアバリアに激突。
外傷だけでなく、頭蓋骨を損傷するほどの重症で緊急手術。そのまま、シーズン中には復帰することはなく、2009年の後半戦の殆どを棒に振った。
2010年は、ドイツGPでの“減速事件”があったとはいえ、表彰台に登るのがやっと。ライコネンの後任としてチームに移籍してきたアロンソの前に完全に沈黙。
シーズン5勝、最終戦までランキングトップを走ったアロンソの前に完全にセカンドドライバーと化した。
今のマッサを見ていると、2008年にハミルトンとタイトル争いをしていた面影は全くない。あの事故がマッサの人生を大きく変えてしまったことは間違いないと思う。
マッサは、2008年シーズンラスト2戦目のシンガポールGPを迎えた時点で、前年度のチャンピオン ライコネンを抑えて、ランキング2位。ハミルトンを猛追、PPを獲得して、トップで快走していた。
そして最初のピットストップ。信号システムを変えるメカニックのミスで、作業が終わっていないにも関わらず、給油ホースを付けたまま、マッサはピットアウト。ホースを引きちぎってしまい、ピット出口で立ち往生。
そこで大幅にタイムをロスした上に、スタート時にエイドリアン・スーティルの進路を妨害したとしてドライブスルーペナルティまで受けてしまう。
結果はポイント圏外の13位完走。最終ブラジルGPで優勝したものの、シンガポールで3位に入ったハミルトンが、最低条件の5位でフィニッシュ。マッサは1ポイント差でタイトルを逃すという悔やみきれない結果となった。
2012年は、マッサのフェラーリ最後の一年になるのだろうか。まだ30歳の復活を願いたいものだが・・・