信じられないものを観た。PPスタート、順調に後続を引き離していたベッテルの右リアがパンクしてコースオフ。3輪でピットに戻ったものの、右リアホイールのドラムとフロアにもダメージを負っていて、リタイア。ドイツGPの4位以外は、全て表彰台に上っていたベッテルが、スタート直後で消えた・・・。
後続とは離れていて、接触もない単独スピン。縁石でタイやをカットした可能性もあるものの、はっきりしたことは分からない。意気消沈するベッテルに、ボスのエクレストンが駆け付け声をかける。
「第1コーナーの出口ではすべてが順調だったけど、第2コーナーに入った時に右リアに変な感触があったんだ。驚くような動きに対処しなければならず、その後は右リアタイヤが宙に浮いてしまって何もできなかったよ」とベッテルはコメント。
レースは、マクラーレンの1-2になるところ、バトンをアロンソがパス。ハミルトンを追う。トラブルを抱えたバトンが後退。アロンソがペースを上げれば、ハミルトンもペースアップする展開で、優勝争いは2人に絞られる。
ベッテル抜きでレッドブルを背負うウェバーは、再三バトンに仕掛けるも、ピットストップで失敗、マッサの後ろにまで下がってしまい、最終的に3ストップを選択。4位に終わって、チームが今シーズン確保し続けてきた表彰台を遂に逃す。
2度目のピットストップでも、順位は変わらず、ハミルトンがトップで3勝目。アロンソは、アブダビで初の表彰台。バトンとのマクラーレン勢に割って入った。
レースが終わってみれば、マクラーレンの完勝。バトンもマシンの不調がなければ、3台での激しいバトルになったろう。レッドブルを支えてきたベッテルの存在の大きさ、アロンソの強さ。本調子であれば、ハミルトンは、優勝出来ること証明してくれたアブダビGPだった。
「とにかくファンタスティックな結果だ。普段の僕は自分に対する最大の批評家で、ミスを犯した場合は厳しく自責するんだけど、今日はすべてを最大限に生かせた気がするんだ。常にプレッシャーを受けながらミスをせずにペースを維持できたことには本当に満足している。レースの大部分で集中したのは、フェルナンドとのギャップをマネジメントすることだ。彼は本当に強力なドライバーだよ」
そう語ったハミルトンは、レース前に自分を擁護してくれたアロンソ、チームメイトのバトンとの表彰台というのは、最高の気分だったに違いない。
おめでとう、ハミルトン。