セナ、プロ時代の4強の関係は、それぞれの強烈な個性ゆえに誰一人として“友好な関係”を築くことは出来なかった。セナVSプロスト、ピケVSマンセル、セナVSピケは最悪であったし、シーズン中にゴルフをともにすることがあったプロストとマンセルもフェラーリでチームメイトとなることによって、決裂した。
その4強が去った後、10年以上、F1に君臨し続けたシューマッハが唯一ライバルとして認めたハッキネンとの関係が基本的に友好的だったのは、ハッキネンがF1ドライバーとしてあまりに常識人であったこと、2人がチームメイトにならなかった“幸運”が重なったゆえではないかと思ったりする。
80年代半ばのカート時代に両者はすでに対決。そしてF3王者にステップアップした2人は、ドイツF3王者(シューマッハ)とイギリスF3王者(ハッキネン)となって、90年のマカオGPで対決する。この戦いは2人の原点と言える。
第一レグでハッキネンが優勝。第二レグとの合計タイムで争うこのレースでは、2位フィニッシュしたシューマッハは、優勝した上にタイム差でも上回らねば、優勝出来ない。
トップを奪ったシューマッハ、1秒以内にピタリとつけるハッキネン。ファイナルラップ、スリップストリームから、オーバーテイクを試みたハッキネンをシューマッハがブロック。クラッシュしたハッキネンはリタイア、リアウイングを失いながら、シューマッハは、最後まで走り切って優勝する。
表彰台には、シューマッハ、アーバイン、サロが並ぶ。後に3人ともF1で共にフェラーリのシートを得、アーバインはシューマッハを、サロはアーバインをサポートする側に回ったことに思いを馳せてみたりする。