むかご飯ほくほく噛めば福は来る | 自由俳句 「風薫」(ふうくん)

自由俳句 「風薫」(ふうくん)

宇都宮で自由俳句の会「風薫」を主宰している陽子です。自由な感覚で俳句を詠み合う句会を月に1回開催しています。俳句集もすでに10集集目を刊行しております。

 先日、雨あがりのの日曜に町歩きの吟行をしました。見慣れている風景も実際に歩いてみるといろいろな発見があります。途中、384コーヒーショップでひと休みして、また歩き出し約2時間半をかけて歩きました。たまにはいいものです。とくに路地裏、小路、忘れられたような公園など。吟行に参加できなかったメンバーの作品も掲載しました。

 

 

 

高崎志朗

並んでも食べたし餃子秋の雨

秋雨のオリオン通りライブ音

雨の中あたり漂ふ金木犀

 

 

疋田 勇

秋虫のオーケストラに指揮者なく

ゴミ出しの距離は遠くも天高く

秋空に群れてトンボはより赤く

北上の風は落葉を山にする

 

 

山 多華子

秋の雨ほど良くあがり白芙蓉

秋の吟行ホットドッグほおばる

秋思宮のあばれ川昔を語る

新涼や雨もあがりて花美し

金木犀香る宮の小路闊歩

 

 

渡辺 健志

秋陰天底破る雨柱

車中泊引き戸を叩く秋時雨

中秋の月覆ふ雲いと黒し

黍嵐朱い波打つ墓の側

 

 

大竹 和音

聞き覚えある歌声や金木犀

ゆくりなくおしどり塚に小鳥二羽

路地裏の空き家傾き秋陰り

ゴミの日のギター持ち去り櫟の実

わだかまり洗い流せぬ生の河

星屑や釜川沿ひの石畳

二荒のおみくじ結びひごろも草

 

 

白石 洋一

五時二十九分起きて息をしています

夜明け空渡り鳥達通り道

刈草の青い匂いに深く息

酢の効いた苦瓜の佃煮が旨い

母猫無くした仔猫4匹育ちおり

村民死ぬ惜しまれぬ人の憐れ

エンリオモリコーネ脳に染み入る

長い髪の毛はトレードマークとなり

金木犀の花の絨毯車輪が踏み躙る

銀行から年金相談の葉書届く

 

 

刈谷見南國

釣瓶落しリュックしたまゝカフェにゐる

初時雨木匙の先の色褪せる

金木犀貌苔むした金次郎

秋の雨あがり日傘となりにけり

二人分傘持つ人に色なき風

図らずもアートな空き家秋しぐれ

薄野や自転車籠のアコーディオン

 

 

福冨陽子

金木犀往く人を振り向かせをり

雨あがりさやかなる街忘れ傘

駄菓子屋にカーディガンの親子ゐて

白風の煉瓦径くつ音愉し

席を詰めてくれる人あり喫茶店

日曜の小学校百葉箱も休み

楽器屋のガラスにチラシ秋ライブ

釜川の水嵩増へて金木犀

ホットドッグ千切キャベツ秋の空

二荒山砂利踏むごとに秋夕焼

蕪村句碑ふたりに譲る残菊