竹の香のいさぎよしやと散歩道 | 自由俳句 「風薫」(ふうくん)

自由俳句 「風薫」(ふうくん)

宇都宮で自由俳句の会「風薫」を主宰している陽子です。自由な感覚で俳句を詠み合う句会を月に1回開催しています。俳句集もすでに10集集目を刊行しております。

 3月、宇都宮市内にある「若竹の社 若山農場」にて吟行をしてまいりました。竹林を散策しながらの吟行は日常から離れ、気分は別世界でした。竹林をはじめ敷地は東京ドーム5個分の広さというので驚きです。おかげさまでいい句が浮かんできました。

 

 

 

 

渡辺 健志

まだ知らぬ 竹の隠れ家 ここにあり

若竹の 命感じる 柔らかさ

風やみて 緑のトンネル ありがたし

白き竹 命抜けし色 儚きや

捨て竹も 楽器変ゆる 遊び心

 

 

大竹 雲漢

竹の影より人現るゝ春の午後

春昼や竹に鴉の止まり木なし

一切の竹を飲み込み竹の秋

春寒や豊かに燃えし竹の榾

鳩の巣や飲み込みしづか竹林

星型の竹の穴より虫いづる

 

 

大竹 和音

竹の葉音 ブラシで叩くスネアかな

竹取りや竜宮の姫も雛段へ

竹やぶの山蹴け上がりし防空壕

がっ錆の焼夷弾重し山芽吹き

 

 

 

山 多華子

まっすぐに育つ竹林我恥じる

細くてもたがいて育ち見えぬ先

吟行の竹林うたう師の後

父母に見ゆけやきの大木見守りて

竹叩き奏でる音色南国や

竹燃えて温むる頬も午後かげり

 

 

荒木 あかり

竹のライトに導かれおぼろの世界

竹のさわさわ風通る道

けやきの古木竹林に一木

竹林に分け入って深呼吸

竹林の中にいて音静か

 

 

小林 泰子

静けさや 竹林深き青に魅入る

 

 

 

石井 温平

夫婦とも見ゆる仲良き竹

 

 

福冨 良

竹林囲めば温めり囲炉裏端

竹林飛行機の音や見え隠れ

 

 

刈谷 吉見

説明の長き人あり竹の春

竹の原ラジオ大地をスピーカーとし

 

福冨 陽子

竹の中カラスの声や外の声

けやき立つ 立ちて何を見続けり

亀甲の紋様見たり竹ばやし

道なりに金色の竹あり足止まる

吟行の動きや景に溶けなりぬ

 

竹林内にて焚火を囲んで抹茶と羊羹をいただきました