如月も最後の週となりました。今年もまた花見の話題が出る頃となりほっとしています。といっても宇都宮はまだまだ、とくに朝晩は冷え込みますので、春支度はほど遠いと感じます。それでも街にはパステルカラーの装いが増えてきたように思います。
2月24日(日)、自由俳句「風薫」の定例会を開催。
ここにメンバーの作品を掲載いたします。
丘 トモロヲ
五十路の春酔ひて服屋の娘はいづこ
体育5 俳句詠む日の壱萬歩
春うなじ晴れ着とどかぬはれのひに
残り餅最後に食うたは三十二
苺ケーキ一期一会のひとめぼれ
山 多華子
寒過ぎて花冷え想い即詠す
早春のセンター試験関門ぞ
早蕨 蕗の薹をも日溜まりで
うぐいすや千秋庵北の餅
雪融けを梅の蕾も請う如く
早春の陽受けり白くさりげなし
早春に終わりを告げし新企画
梅の香に深呼吸心地良し
昌磨精魂尽きて伏す氷
早春の山肌映えし雪白く
渡辺 健志
気温より五感にゆだね早春ぞ
強風の途切れ途切れに春の香や
暖風の叩く家にも寒残り
鼻うずき 嬉しさ半面 春風や
風邪と春 温み感じるどちらとも
アウターの余分な厚み汗ばめる
大竹 雲漢
早春や仙人掌扉のほうに伸び
早春に云々といふ雲ありけり
朧月シルクロードの夜を経て
貯金箱小銭あふるる兜太の忌
大竹 和音
尊攘の歴史探訪水戸の梅
塩鮭の日の丸弁当母の味
春よ来い花咲か爺の夢見かな
風の子や またあへるよね雪だるま
空時計雪の結晶のやふな星
篝火や見果てぬ夢の刹那かな
春一番一難去ってまた一難
防寒帽キセルくぐらす爺様かな
湧水の氷柱つらなる小口川
小林 泰子
砂糖漬け晩白柚にがみ噛みしむる
春一番切り裂く弦音的を射る
汗にじむ厚着の出掛け早き春
荒木 あかり
雪の朝陽ざしの強し春近き
ポツポツと降り出す雨のシュールなり
春いちばん身を抗いてわくわくす
春は名のみ 雨ついばむカラス居る
白石 洋一
列車の警笛木霊する初春や
この地で生まれここで死にゆく私
早春や猫は背伸びしクシャミ出る
水仙の葉の緑濃くなりにけり
刈谷 吉見
母に聞きたきことの増え春隣
初午に大根すりて円錐に落つ
寒雀飛びビー玉の青光る
雪覆ふメニューボードや闇灯る
春訃報握手の記憶空摑む
ポケットの埃闇から出でて春
北に異父兄姉ありて詞は近し
石井 温平
梅の園猫背気になる齢かな
弟の嫁の愚痴聴く梅日和
白梅や二昔なる妻供養
卒業のその後の彼の抜きん出ず
福冨陽子
城跡の小径見上げり桜の花芽
七分月照らさるる屋根福の居そうな
波音を聞いたか夜半目覚めおり
薄明けの静寂裂きし鳥の声
年号を三たび生く季の紅梅か
真夜中の空や明るし二月仁
㋁の宇都宮城址公園
