冷蔵庫 三日坊主の夏断なる | 自由俳句 「風薫」(ふうくん)

自由俳句 「風薫」(ふうくん)

宇都宮で自由俳句の会「風薫」を主宰している陽子です。自由な感覚で俳句を詠み合う句会を月に1回開催しています。俳句集もすでに10集集目を刊行しております。

  連日酷暑が続きます。暑さをしのぎつつ生活するしかありませんが、毎日少しでいいからスコールが欲しい、なんていうのは勝手な望みでしょうか。暑くても寒くても、人はそれをあえてつぶやきながら生きているもの。それでいいんですね、きっと。

 第100回全国高校野球、栃木代表は作新学院という速報 が入ってきたところです。8年連続14回目の甲子園出場おめでとうございます。

 7月22日、盛夏の日、句会での作品です。

 

 

 小林 泰子

食卓に 蛾飛び込み 我跳びのく
棘を削ぎ パキンときゅうり 丸かじり
ベランダに オオスズメバチ 涼みかな

 

 

荒木あかり

モロコシ畑赤黄帽子の列すすむ

涼風や青田濃くしてきらめく

夏の朝がんばってるねの声に歩を早め

土用の昼歩く人らもゆるゆると

昼下がりショーウィンドウに映る人もまばら

 

 

大竹和音(わのん)

梅雨明けて生死さまよいそよぐ風

軒先の雨にぐったり猫じゃらし

雷鳴やニール・ヤングの歪むギター

夕立やテレビ音消すトタン屋根

雷光や刀剣交え 火花散る

炎天下 手負いの野良に我をみる

古井戸や冷えたる西瓜かじる子等

 

大竹銀河

瑠璃蜻蛉 オリエンタルの ガラス色

油蝉 照りつく暑さ 君のせい

口すぼむ サルビア咲ける 甘い日々

 

 

白石 洋一

※季節選ばずの句

ハンバーグ定食を食べると冬を忘る

雪に立ち小便ハートの形に溶けて

ただ時だけが過ぎて行くだけだと呟く

上弦の月寝床から見上げた位置に有り

春雷のノイズがラジオを邪魔する

 

 

刈谷 吉見

足の爪切る一瞬に夏の静寂

水やりのホースからまり蝉しぐれ

まだだあイノキとマサ斎藤も夏の星

W杯敗れクワガタ迷ひ来る

夏の渋滞交差点をはみ出したる車

 

 

石井 温平

缶ビール大より小へ八十なかば

愛妻の祥月命日ビール欲し

人生の節目と岐路のビールかな

熱き茶や五臓六腑に夜の秋

夜の秋 寡男(やもめ)暮らしの独り言

 

 

福冨 陽子

雷鳴に意味なく人と目の合ひて

竜に化け空より落つる滝走り

じつと垂れフウセンカズラ種あはれ

包装紙匂い嗅ぐ癖打ち明くる

容赦なき熱射に負けしミント朽ち

失踪しあきらめた猫もどりいる

御嶽海なだ流しいる初勝ちの日

 

 

 

もみじ大橋