■ 大倉 美和
朝東風の運びし水面ダイヤ生む
外の子に遅れとりてもクロッカス
ふきのとう まだ小さきて手引っこめる
ブルゾンを忘れて帰る長閑さや
■ 高山 昌子
主留守 鴨も川原で高笑い
犬を連れ 一人夢見し雪明かり
オレンジの優しさ香る友の菓子
東風吹きて 髪乱れおり心地よき
■ 田代 由美子
初手水 背すじ伸びたり雪中花
凍てつく雪に雀舞い降り春立ちぬ
足休め梅の香放つ八分咲き
■ 刈谷 吉見
311 七味の期限切れてをり
311 トースト二枚や苺ジャム
311 カートン買いに迷いけり
憧れしザ・ガードマンも春の星
寒さ越え顔はウズラに似ていたり
雪電線 槍の如くに舞いや飛び
■ 金子 泰夫(メール投稿)
大雪の広場に子らの声はずむ
雪道に豆腐を買ってさくさくと
大雪に小さき頃の夢を見る
大雪に募る想いも溶けきらず
雪かきを終えて見上げる青い空
昼ビール雪のまぶしさ心地良し
雪道に合格祈り送る朝
胸キュンにやっと会えるね神谷BAR
■ 福冨 陽子
受かり咲く 子ら満面に花 虫動く
ほたて寿司 夢にてたらふく喰い目覚む
あけぼのの列車は蒼し 卒業の儀
温かき名を誌に見て 土を掘る
別れゆく 雑荷は多くも肩軽し
会うや去るや 蝶もまた 会うや去るや
