先日も、授業料が安い大学があったら入り直してみたいななどと知人と話しました。知りたい、研究したい、深めたい、会得したいという心底からくる欲求は中年期を越えたあたりからやってくるものかもしれません。アメリカではシニアの生徒は珍しくありませんが、なぜか日本では大学生=若者というのが当たり前の現況です。他国からみると「珍百景」らしいですね。
さあ、今年は思いきって五七五にさえもとらわれない気楽さを取り込んむ試みにもチャレンジします。
■ 大倉 美和
蝋梅の足止め人ら会話の素
昼と夜の狭間に浮かぶ冨士の影
寒日和 濡れ縁にそっと大根干す
真新し手帳もとめて成人式
■ 高山 昌子
今朝の雪 はずれし予報の茶や旨し
どんど焼き 炎照りそめ馴染み顔
日本酒や 目覚めし魅力のつつき鍋
■ 田代 由美子
土割れて福寿草の芽ゆるりなり
朝もやに霜柱の音 大寒や
春渡祭の炎あかあか人の波
■ 白石 洋一
温き冬 午後まどろみて 居眠りす
襖紙 漏れる灯りや 冬の暮
ささやかな 一生だったと カボスの酢
白菜よ霜に耐えつつ美味くなり
山頭火風
背負ったら 致し方ない 荷物かな
酒を飲み 暖かい布団にくるまる幸せよ
時流れ戻れないんだ手をこする
一人だな淋しくないと強がって
明かりの鎖巻かれた木立
人間の為だと我慢しているのかな
さぞかし怒っているだろう
風が音を立てて吹く
寒さは音から感じるのかも
■ 刈谷 吉見
どんど焼きやがて寂しき闇路かな
冬うづら六羽横目で我を見ゆ
■ 小林 芳弘 (こじこ次郎)
「蝋梅」を花に教わり 冬の室
どんど焼 服に残り香 御利益や
まゆ玉を供えて想う母の顔
■ 福冨 陽子
火櫓を月は見降ろし どんど焼き
夕景や鳥ゆきゆきし大寒過ぐ
センターの試験終われり 徒は晴るる
もどる子の椀探しおり 木蓮の芽
明日の字を 日・月・日とはよもや気づかず
随筆の友やメールの誤字のあり
閑室の暦の破るは怪音なり
結晶の模様や車 凍み居る

何処へいく 堕ちていくよな飛行機雲よ

寒空を燃えや焦がせや 櫓月