青の澄む季節 | 自由俳句 「風薫」(ふうくん)

自由俳句 「風薫」(ふうくん)

宇都宮で自由俳句の会「風薫」を主宰している陽子です。自由な感覚で俳句を詠み合う句会を月に1回開催しています。俳句集もすでに10集集目を刊行しております。

卯月の句会を開催しました。花が咲いているのを見ると自然に心もほころんできます。なにげない芽吹きの季節を満喫したいですね。

■ 高山 昌子

いつもと違う朝日
光無く 輝かぬ太陽
灰色の空 裸体を曝す
魅せつける姿
いつもと違う日にしよう
何をするべきか 何をしたいのか
鳥さえずり 川の鯉踊る
息吸うだけで 生きているとはいえない
水仙の花 誇らしげに笑う


■ 田代 由美子

ふきのとう百歳の声も届きたり

春雷に愛犬震え花の散る

田植え待つ農夫の背中に春の風

しゃぼん玉とばしてはしゃぐ子らの笑み

海青し まったり心も透けてゆく


■ 半沢 美恵子

断舎離や 一部屋十の春そうじ

朝桜 珈琲片手に八幡山

いわうちわ 里山登り息きれて

里山に しょうじょうばかま鎮座する

タラの芽や塩で一口 手間をかけ


■ 白石 洋一

梅の花 日差し柔らか 深呼吸

満月や 星の数を 減らしおり

やがてはと 思う心は 梅の花

一人でも寂しくないさオリオン座

コーヒーに朝の時間を預けたり

レトロなる食堂の自家製カレーの旨さよ

強がる父の口元痩せ細る

酔えばいいそんな気持ちの指先冷たい

窓ガラスに映る自分はただの老いた男


■ 佐藤 宣明

鐘の音も澄み染まりけり梅の花

桜咲く袖の長さに期待込め

田蛙のまだ恥ずかしき草の径

神さびて玉散らすホソバミズゼニゴケの清明よ

雨上がり 苔日和 東風の木石


■ 刈谷 吉見

春の雨 給料明細忘れをり

餌箱を突いてる音春の昼

気がつけば掻いている足 夏近し

ゴマ油 交ぜしパラパラ春チャーハン

花見行 食堂車のサンドイッチ チンされ


■ 福冨 陽子

虫起きる 地や葉やここし 卯月晴れ

退院を告げられ廊下に伸ぶ陽射し

長蛇にまぎれ5%のペンをひとつ買い

阿武隈や滔々とゆく 雪溶け抱く

たけのこの皮ににじみし梅干を吸い   

友の便 高知春野の香を添えり

道端の枝垂れ桜や 人を撫で

草餅を六つといい 五しかないですねと主の声 

斑雪(はたれ)野を 飛び交い鳥の嬉しからずや


金子さんちから桜