本日のお遊び/祈願!マーガレット・アトウッド様にノーベル文学賞を!! | 俳句でDiary ─ できるかな?

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私の俳句 萌え萌え日記

毎年秋、それも10月が近づくとノーベル賞の話題が出てきますよね。特に文学賞では、日本の

某有名作家の名前が取り沙汰されていますが、活字中毒者である不肖・灰色の猫と致しましては

あの方の底の浅い軽いファンタジー風ライトノベル(←ハルキストの皆様、ごめんなさい!)を遥かに

凌駕する文学的重厚さと精緻さを併せ持つ作品を、特に最近では神話的ともいえる世界を生み

出している、あの方こそノーベル文学賞を受賞するにふさわしいのではないかと───

 

   

 

↑70年代、まだお若い頃のアトウッド様です。

顔は似ていないのですが、雰囲気が何処となく故向田邦子さんを髣髴させるような・・・?

 


 

カズオ・イシグロも評価しているアトウッド様♪

 

 

カズオ・イシグロが受賞したときも、好きな作家さんだし私的にも嬉しかったのですが、今から思えば

 

少々早すぎたような気がしないでもないな、と思っていたら───なんとまあ、イシグロ氏の

 

エッセイに 「アトウッドのほうが (ノーベル賞受賞は)先だと思っていた」 という一文が! 

 

 

さすがイシグロ氏は分かっていらっしゃるのね♪ まさに『三国志』に於ける曹操と劉備のように

 

英雄は英雄を知る」ですよね。優れた作品を書く文学者としてリスペクトしていたという事でしょう。 

 

 

だから当然、村●春●サンなどは問題外と (以下省略)  まあ、はっきり言えばネ、文学的な

 

素養というか知識教養のベースが全然違うんですよ。だから同列に考えるのはアトウッド氏に

 

対して非常に失礼であるのではないかと・・・(←ハルキストの皆様、すまん!)

 

   

 

───と、思わずひとりでニンマリとしてしまいました。

 

しかし、イシグロ氏のこの発言って、よく考えたらすごい自信ですよね(笑)


 

受賞は運?それともタイミング?それとも・・・

 

 

マーガレット・アトウッド様は現代カナダを代表する作家でありその文学的評価は世界的にも高い。

本来ならば、ここ10年くらいの間ならいつ受賞してもおかしくはないのだけれど、タイミングが…。

 

 

敢てイヤラシイ表現をしますが、彼女が”黒人”であれば、とうの昔にノーベル賞を受賞

していたと思うよ。 もしくは カナダでなく、もっと後進国・第三世界出身 とか・・・

 

ノーベル文学賞は結構マイノリティに忖度するからねえ? そこが気に入らない(笑)

 

 

また彼女の場合は、長く大学で教鞭を取っていたことや、一部の作品がフェミニズム的であると

 

支持されている事もマイナスになっているのではないか?と勘ぐってしまうのです。
 

どうもね、その辺のところがフィルターがかかっているんだよね。

 

 

文学作品の読み方や受け止め方は人それぞれでよいと思うのですが、私はアトウッド様の作品は

 

フェミニズムとは余り関係ないと考えています。少なくとも、著者のアトウッド様はさほど意識して

 

いないのでは?と思うのですが、どうでしょうか。 

 

 

注意:但し、日本で言う”フェミニズム”は残念ながら少々意味が違ってきます。

   本来のフェミニズムからは離れて、左巻きのアホな連中の反日手段のひとつに

   成り下がっているんですワ!

 

 

たとえばアメリカのフェミニストたちに大いに評価されたこの作品・・・

 

   

 

 

日本では版元が地味なところや、文庫にもなっていない点などで、余り読まれてはいないかも

 

しれないけれど、アメリカでは「フェミニズム文学の古典的傑作」と評価されているのね。

 

 

行方不明になった父親を探すために故鄕に帰った若い女性の物語なのですが、清冽で詩的な

 

作品に仕上がっています。父親は物語ラスト近くで湖の底から事故死体として発見されますが、

 

幻想的な雰囲気の中で、父を探し、同時に本当の自分自身を探す物語にもなっている。

 

 

邦題は『浮かび上がる』── 浮かび上がってくるのは父の死体なのか、それとも自分の

 

隠していた過去なのか?ミステリでいう「信頼のおけない語り手」である主人公が少しずつ

 

自分を取り戻すのか、しかしそれは歓迎されざることなのか────

 

 

最終的に、主人公の女性のとった行動は理解しがたいかもしれませんが・・・。

 

対立する男性たちを捨て去る、というよりももっと原初の姿に還っていくというか・・・。

 

 

読み終えたとき、私の頭の中にイメージされたのが「ヴィレンドルフのヴィーナス像」として

 

知られるこの石の女性像なんですよね。(旧石器時代のものとされています)

   

   

 

 

生々しく生命のエネルギーに満ちた太古の女神そのもの、根源的な女そのもの───

 

さぞかし男性にとっては理解しがたくも恐ろしい存在だろうなあ、などと思ったりして(笑)

 

 

そういえば、選考委員って男性ばっかりなのかしら? 選考する方々の中に女性がいれば、

 

アトウッド様は確実に10年以上前にノーベル賞を受賞できたのではないかと思うのですが・・・

 

 

未確認情報ですが・・・

 

 

さる大手出版社勤務の知人によると、日本の某有名作家がこのノーベル賞が欲しさに盛んに

 

ロビー活動をしているとか?いわゆる”社会性”や”文学性”とは程遠い軽い作品を描いている方

 

だけに、最近では意識的に海外で、政治的リベラルを気取った寒~い発言をしている(笑)

 

 

まあ、政治的発言も上手くツボにはまれば評価され易いんだけれど・・・。

 

氏の場合は、ピントのずれた無知がベースになったものだけに(以下省略)

 

 

しかし、こういうイタイ事をするのは、大・健サンの真似をしているのでしょうか?

沖縄に行きもせずに、ぬけぬけと『沖縄ノート』を でっちあげた 著した大・健サンだけどな。

まあ、こうした雑魚(ざこ)のことはともかくとして(←再びハルキストの皆様、ごめんなさい!)


 

神さま、お願い!

 

 

ああ、芸術の神さま、文学の神さま、ムーサ(ミューズ)の女神さま、不肖わたくし灰色の猫、

 

心より伏してお願い申し上げます。
 

   

 

 ◆◆ マーガレット・アトウッドさまにノーベル文学賞を! ◆◆

 

   

 

さて、私の心からの魂の叫び(笑)はともかくとして、以下にアトウッド様の作品のことなどに

 

少々触れることにしますが、興味とお時間の有る方はどうぞお読み下さいませ。

 

 

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お気に入りのアトウッド作品は・・・

 

 

さて、私自身が最も気に入っているアトウッド作品がコレ↓であります。

 

   

 


活字中毒者である不肖わたくし灰色の猫を大いに満足させ、活字世界の良さを映像作品以上に

 

じっくりと味わい楽しませてもらった読み応えのある力作であります。


ものすごく乱暴にひとくちで表現してしまえば、カナダ版”女の一生”とも言えるけれども、日本の

NHK朝のドラマ小説に取り上げられるようなタイプの健全な作品ではありません。

もっと・・・毒がある。活字中毒者を魅了させ痺れさせる良質な毒が───


夫の真実の姿を知り、娘を連れて家を出るヒロインではありますが、娘には本当の事を言えない

 

だけに、父を奪われたと反発され憎まれ、娘は最後にはドラッグ中毒のまま死亡し、残された孫娘

 

もヒッピーのように放浪中で、いま何処にいるのかも分からない・・・

 

  

 

 

この作品は、老いたヒロイン・アイリスがそんな孫娘に、一族の歴史を含めて在りのままの真実を

 

伝えるために書かれた物語である、とも言えるでしょうね。老境に達したアイリスが、まるで

 

”意地悪ばあさん”みたいに(笑) 辛辣で毒舌家であるのが痛快だったかなー。

 

 

父の事業を救うために、これといった意志も恋心もなく乞われるがままに資産家の令息に

 

嫁いでゆく少女時代に比べると、遥かに自立した大人の女性に成長しているんだよね。

 

(結婚相手の男性とその家族については終始モヤモヤとした思いが・・・)

 

 

事故死した妹のローラが書いた『昏き目の暗殺者』という小説を、彼女の死後発表してから、

 

アイリスの運命は大きく変わっていきますが、その運命を選択したのも彼女なんですよ。


 

構成の妙味を味わえる作品でもある

 

 

元々、『ブロッケン一族の崩壊』のような親子何代かに渡る小説作品が好きなのですが

単なる大河小説(?)ではなく、その構成が凝りに凝っているんだよね。単純に時系列で

物語が進められるのではなく、同時並行の五層構造で語られていくんですよ。

 

┿◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┿
 

  ・主人公アイリスの今現在の物語(現在進行形で進みます)

  ・アイリスの一族の物語を過去にさかのぼって祖父母の代から語っていく

  ・アイリスの妹・ローラが書いたとされる『昏き目の暗殺者』という物語(の一部、だと思う)

  ・劇中劇のように『昏き目の暗殺者』の作品中で、ヒロインの恋人が語る未来小説

  ・作品中に随時挿入される、新聞や雑誌記事の抜粋(風に書かれている内容)


┿━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆┿

 

 

物語の語り手である女性(この作品のヒロイン・アイリス)はひとりですが、この語り手がミステリで

いうところの「信頼の出来ない語り手」であるのは物語中盤くらいに差し掛かってくれば分かるはず。


アトウッド様の作品は結構ミステリ的な要素があるんだけど、完全なミステリ(謎解き)ではなく

あくまでも”要素”ね。物語世界に色を添えるためというか、深みを増すためというか・・・。

 

 

しかし、こうした作品であるだけに最初は理解しにくい・読みにくい部分もあるかもしれません。

作品の最初に一族の系図が書かれているので、私はその部分をコピーして、随時メモ的に覚えを

書き込んでいきました。こういうのは自分だけだと思っていたら、海外の方も結構おなじことを(笑)

 

   

   【画像引用:https://poonsiriwong.weebly.com/foundationscca/

   

     【画像引用:https://www.mearso.co.uk/sketchnotes/the-blind-assassin-sketchnotes.html

 

 


 老境の姉アイリスが、妹ローラの死を含め一族の来し方を書き記した文章に、ローラが
 遺したとされる小説、過去の新聞記事が挟み込まれる形式。長い一代記の中に隠された、
 語り手の意図、小説の内容と現実の真相が徐々に明らかになり、後半は読むのがはかどり
 ました。
                               引用:読書メーターR C様

 

 

なお、この作品は2000年度に英国のブッカー賞を受賞していますが、ブッカー賞は日本人には

今いちピンと来ないかもしれませんが、1989年カズオ・イシグロが"The Remains of the Day"

(邦題は『日の名残り』)で受賞した賞であると言えば分かりやすいでしょうか?


イギリス連邦およびアイルランド国籍・アメリカ国籍の著者による、その年に英語で発表された

もっとも優れた長編小説に授与される世界的に権威のある文学賞のひとつ
ですが、興味深いのは

 

選考委員が文芸評論家、学者、編集者、小説家、高名な人物などから、性別などのバランス等

 

にも注意して選出されるという点でしょうか。
 

 

「信頼のできない語り手」とは・・・

 

 

ついでに、最近の文学作品で多く用いられるようになった”信頼の出来ない語り手”について

 

簡単にまとめてみました。本来はミステリでお馴染みの手法のひとつなのですが───

 

 

    信頼の出来ない語り手:Unreliable Narrator

    
    【画像引用:https://writerswrite.co.za/nine-types-of-unreliable-narrator/

 小説、特にミステリや映像作品などで用いられるトリックのひとつです。

 主人公やナレーターなど物語の”語り手”の信頼性を敢て低くすることにより、読者や視聴者を

 惑わせる、というもの。最も知られているのがアガサ・クリスティの『アクロイド殺人事件』でしょう

 比較的最近では道夫秀介の『向日葵の咲かない夏』など・・・

           
 
 虚実ないまぜになっているので、読者はだまされてしまいますが、そのさじ加減が難しいかも?

 なので、明確な嘘ではなくわざと語り方を曖昧にしたり不正確にしたり、「・・・と言われている」

 のように断定はせず「周囲はそのように見ている(実は違うけど)」とかね。

 また嘘は言わないけれども、敢て本当のことは伏せておく、とか・・・


 映像作品でこれをやるのは困難とは言われているけど『アザーズ』や『ライフ・オブ・パイ』
 
 また『シックスセンス』などは成功した部類ではないでしょうか?


           

 必ずしも語り手の自覚や悪意をともなう必要もないのですが、物語世界全体に不安で不穏な

 イメージを与えたり、テーマをより重層化するといった効果をもたらします。

 細分化すると現在では約9パターンあると分析されています。
 

 

 

まあ、この作品についてはあれこれと語るのも切りがないのでこの辺にしておきましょうか。

 


 重厚かつ重層に織られた絨毯のようなどっしりとした職人技の芸術品のようであるが、
 織り込まれているのは、哀しみ、裏切り、孤独。最後のひと織まで全景を見せないこの物語は
 最後の一行まで緊張感をもたせその後の余韻が長く後を引く。

 時代の流れや戦争、そして名家の没落だけが、彼女たちをがんじがらめにし、自由と心を
 奪ったのではない。作中作『昏き目の暗殺者』は物語だけの中にいるのではない。

 支配し、支配されるものがある限り現在も未来にもその存在はあり続ける。
 アトウッドの作品にはいつも圧倒され打ちのめされる。
                            引用:読書メーター mii22.様

 

 

 

     

 

この作品、残念ながら文庫版は”品切れ・重版予定なし”になっているんだよね。。。

しかし、こうした重厚な作品はやはりハードカバーで読みたい!という気持ちがあります。

 

 

初めて読んだアトウッド作品は・・・

 

 

軽い読み物ではなく、明確な文学志向を持つアトウッド様の作品が日本で一気に知られるように

なったのは、なんといってもこの作品↓でしょうね。
 

   

 

侍女? それってメイドさんのこと? それも下働きではなく奥様付きの日常のお世話をする・・・

・・・ではありません。「妊娠可能な産む機械」としての扱いを受けている女性のことです。

 

   

 

 

この作品が初めて日本で出版されたときには結構話題になり、さまざまな紙メディアで紹介され

 

ましたし、お読みになった方もいらっしゃると思います。何度も書評にも取り上げられたしね。

 

おおむね好評ではあったものの、SF小説として紹介されていたのには少々違和感が・・・

 

   

 

一番端的に分かりやすい紹介が、オーウェルの『1984年』の女性版といったところでしょうか。

女性の権利・人権・自由がすべて奪われた超監視社会が描かれています。

 


(おそらくは)アメリカと思われる国でクーデターが起こり、それまでの政権は転覆、新たに

生まれ変わった社会はキリスト教原理主義が支配する世界で女性は男性の従属物でしかない。

 

   

 

 

銀行口座?仕事? いやいやいや、そんなレベルではありません。

”人間”としての一切の権利と自由が奪われたといっていい社会です。すべての女性は

国家に管理され、年齢や子宮の機能(!)によって服装でさえ定められてしまう。

 

   

    【画像引用:https://edition.cnn.com/travel/article/handmaids-tale-costumes/index.html

 

 

女性たちの中で”妊娠可能”とされたのが”侍女”という立場になります。

3年交代ぐらいで”司令官”(←上級国民か?)の家に住み、子どもを産めない妻のために妊娠・

出産の役割を果たすことが求められるのです。読み書きすることすら禁じられている。


そんなに重要な役割を果たすのだから優遇されるかというと、そんなことはない。

だって、あくまでもモノだからね。外出時でさえ、一人では許されず他の侍女とペアになって

 

   

 

相互に監視しながらでないと外にも出られない。おまけに本来の姓名すら奪われる。

この物語は、そんな侍女のひとりである”オブフレッド”が語る一人称の物語ですが、この名も

”ブレッドのもの”という意味なんだよね。なので派遣先(!)が変われば名前も変わる。

 

”オブ×××”という具合にね。

 

   

 

なお、この作品はアメリカのテレビ番組で映像化されています。

 

日本ではhuluが配信しているそうですが、いずれは日本語版のDVDも販売されるかも?

 

 

 
 侍女のオブフレッドは、司令官の子供を産むために支給された道具にすぎなかった。
 彼女は監視と処刑の恐怖に怯えながらも、禁じられた読み書きや化粧など、女性らしい習慣
 を捨てきれない。

 反体制派や再会した親友の存在に勇気づけられ、かつて生き別れた娘に会うため
 順従を装いながら恋人とともに逃亡の機会をうかがうが…男性優位の近未来社会で
 虐げられ生と自由を求めてもがく女性を描いた、カナダ総督文学賞受賞作。
                                  引用:「BOOK」データベースより

 

 

  

 

 

次に読みたいアトウッド様の作品は・・・

 

 

アトウッド様は1939年生まれでいらっしゃいます。 おん年80歳!ぜひとも長生きをして頂きたいと

 

思いますが、でもでも、お元気な内にぜひともノーベル文学賞を!と望む私です。

 

この方の作品世界は年齢とともに凄みを増し、研ぎ澄まされていく───

 

 

次に読む予定は『洪水の年』上・下であります。

 

この作品についてもまた機会があればお話をすることがあるかも?

 

こちらは新型ウイルスにより廃墟となった地上を描くスケールの大きな近未来小説。

 

うーん、黙示録的ですね。

 

 

悲しいかな、文字数がオーバーしてしまったので(泣)今日はこの辺で終わりますね。

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。             

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