ゴールデン・ウィークももう間もなく終わります。これといって楽しい予定も無かったし、むしろ
少々憂鬱な時期ではあったのですが。うん、まさに「五月憂し」そのものでね。けれども、戸外 を
歩けば刻々と季節が夏に向かって行くのがよく分かります。垣根で満開のあの花も・・・。
こんにちは、本日の季語は「花空木」(はなうつぎ)・・・夏(初夏)の季語です。上の画像で
すぐ分かると思いますが、これは「空木」(うつぎ)という木の花、つまり「卯の花」のことなん
ですね。卯の花といえば、お馴染みの唱歌を思い出しちゃうかしら?そう、「夏は来ぬ」ですよ。
♪う~の花の 匂う垣根に ほーととぎす 早も来鳴きて 忍び音も~ら~す 夏~は来ぬ♪
↑「卯の花」と聞くと条件反射で歌ってしまいそうだわ。季語としては他に「空木の花」「初卯の花」
またこの唱歌で思い出すように「卯の花垣」(うのはながき)など・・・。
また、「うつぎ」という表記ですが、歳時記によっては「卯木」となっているものもありますが
正しくは「空木」と書きます。PCで「うつぎ」と入力して変換させても「空木」と表示されるはず・・・。
木の名前の「空木」だけでは季語にはならず、あくまでも花の咲いた姿・花が季語ですね。
空木はユキノシタ科の落葉低木で、種類も非常に多くそれぞれに「箱根うつぎ」「黄花うつぎ」
また「谷うつぎ」や「薮うつぎ」など・・・咲いた花を卯の花と呼ぶのは陰暦四月(卯月)に咲 くから・・・
あ、逆か。この卯の花が咲く月だから「卯月」になったんだっけな。
ちなみに「空木と書くのは、茎が空洞だから。「空ろ木」(うつろぎ)が変化して「空木」とな ったそう
です。ユキノシタ科以外で”空木”と付くものも、厳密には違う種類ですが同一季語になっています。
【左:サラサウツギ 右:箱根ウツギ 引用:楽天市場 ガーデンタウンさま】
さて、卯の花は現代ではほぼ1ヶ月遅れとして四月の終わり頃から五月の連休頃が満開に♪
種類は多くとも、私たちが普段目にしやすいのはやはり生垣で咲く卯の花ではないかしら?
余り背も高くならず、こじんまりとした生垣は、私の子ども時代にはよく目にしたものです。
こういった庭園樹や生垣にする樹にも流行があるのでしょうか。現在では余り見かけなくなって
しまいましたね。ちょっと淋しいような・・・。古い歌で月光のようなと、また雪のようだと歌われた
あの卯の花の清々しいほど真っ白な花はやはり魅力があります。別名を「雪見草」とも・・・。
季語としても古く江戸時代、17世紀の頃から愛されて来ましたが、実はこの花は古くから桜や椿
また躑躅(つつじ)と同じく呪法にも使われてきたのですよ 硬い木は卯杖(うづえ)、卯槌(う づち)
などに使用され邪悪な土地の精霊を追い払う役目を持っていたんですって ( ≧▽)ノ″ヘエー!
この場合の「うつ」は文字通り投げ打つことや捨てることを意味しています。
初春にこの卯杖で地面を叩き、さまざまな行事を執り行います。そうして、卯月になればまた
繰り返して、今度は田植えの準備を祝う祭事を執り行います。なかなか神聖な存在だったのね。
↑これが卯杖です。長さは約1.6メートル。興味深いのは、薬玉とおなじように五色の糸が使われ
ていたこと。 贈答品としても使われ、お正月初めの卯の日の飾り物として使われました。木は
他に柳や桃の木、柊なども。今でも地域に依ってはお正月飾りとして使われることもあるかしら?
そんな伝統のある空木・卯の花ですから古く万葉の頃から数多く歌われてきたのも当然でしょう。
ほととぎす我とはなしに卯の花のうき世の中になきわたるらむ 凡河内躬恒『続古今集』
===*===*===*===*===*===*===*===*===*===*===*===*===*===*===*===*===*==
鬱々とした気分のとき───ましてや、雨など降っている時─── どうしても家に閉じこもり
がちのヒッキーさんになりがちですけれどw 最近では逆にそんなときこそ戸外に出て歩きたく
なります。 ─── 生田春月の詩「歩み」のようにね。
※2015.6.8 本日のFavorite詩歌 ( ^ー゜)σ 寂しい時は ただ歩くがよい
これですよ↓(再掲)
あー、やっぱりいま読み直してもいい詩だなあ~!
うん、そうだよ。そうして見つけたのが満開の卯の花だったわけ。
眩しい程の白さで咲いていた 昨日の雨でそろそろ散り始めてもいたけれど、
こんなちょっとしたことで心がなごむ私も単純と いうか、お金のかからないヒトですね(大爆笑)
もう少しすると、暑くて歩くのも辛くなるかもしれないけれど・・・
それでは、今日はこの辺で・・・またね。
↑これは梅花空木。花が大き目で華麗な印象ですね。