ジヨンくんのインスタからの妄想です。
ヒョンはそう言ってしゃがみこみ、ペットのアイと視線を合わせた。
そして、長い紐がついた猫用の玩具をアイの前に足らし、ぷらぷら揺らしてアイの気を引く。
そして、アイが玩具に興味を持ったのを見定めると、勢いをつけて立ち上がる。すると、アイも玩具を追って跳び跳ねた。
「ほら、おいで」
ヒョンは楽しそうに微笑んで、まるで舞を舞うように、猫の玩具を揺らめかせた。それを追って、アイは実に猫らしい身体能力を見せる。
「どうだ?」
アイがぴょんと跳び跳ねて、美しい宙返りを見せたところで、ジヨンは嬉しそうに振り返った。
(どうって言われても…)
そんな風に瞳をキラキラさせて、 どや顔をされても困ってしまう。アイまで、「お前にはこんなこと出来ないだろ」とでも言うように見上げてくるから、凄くムカつく。
「あー、凄いね」
「何だよ。反応薄いな」
いや、だって。他に何と言えと。アイが可愛いのはわかるけれど、興味のない人間にとってペット自慢ほど反応に困ることはない。
「アイー、このお兄ちゃんはつまらないな」
ヒョンは甘い声で語りかけて、アイを抱き上げた。アイがヒョンの肩越しに俺の顔を見ている。
あ、ムカつく。
俺は、この猫が嫌いだ。
「ヒョン」
俺はヒョンの肩にぽんと手を置き、耳元で囁いた。
「アイも凄いけど、俺ならもっと凄いことでヒョンを喜ばせられるよ」
何を想像したかわからないけど、ヒョンの耳がぽっと赤くなる。その反応に俺は満足した。
だけど、次の瞬間。
「にゃあっ」
アイが敵意剥き出しの声を上げ、俺の手の甲を引っ掻いた。
「いってぇええ」
「わっ、大丈夫か?スンリ?…アイ、駄目だろ。お兄ちゃんと仲良くしなくつぁ」
「にゃぁ」
アイは、ヒョンの言葉には甘えた声で答える。
くそぅ。
俺はやっぱり。この猫が大嫌いだ。