第九十九回『東をどり – 新ばし白花繚乱』(5/25 新橋演舞場・弐の回)観に行って来ました。 | 黒猫マークの宅配便のブログ 「じんせいかくえきていしゃ」(since 2006,10,17)

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1925年(大正14年)新橋芸者の技芸向上を披露する場として

『新橋演舞場』

建設されました。

 

そのこけら落とし公演が、

『第1回東(あずま)をどり』

です。

 

東京を代表する花街の一つが新橋は、江戸時代には各藩の大名屋敷から距離的に都合の良い場所にあったため、公儀の役人や他藩の客人との接待・外交の場として利用されていました。

また、芸事を教えていた女師匠が座敷に招かれて芸を披露していて、この付近の地名が金春人道(こんぱるじんみち)だった事から、

「金春芸者(こんぱるげいしゃ)」

と呼ばれました。

 

新橋の名称が使用されるようになるのは、明治初期からになります。

金春芸者も、この頃から新橋芸者と呼ばれるようになります。

 

この時代の新橋は、明治政府の要人や政財界の大物たちの利用が多くなり、それ以前に増して知識と教養・芸の向上が求められるようになりました。

 

新橋芸者衆の皆さんは芸を高めて行き、後年

「芸の新橋」

と呼ばれるまでになります。

 

しかし、明治初期の時点で東京には劇場が存在せず、祇園甲部歌舞練場(ぎおんこうぶかぶれんじょう)が建設され、

毎年春に上演される舞台公演

『都をどり』

が好評を博していた京都とは異なり、至芸を披露できる場所が有りませんでした。

 

そこで建設されたのが新橋演舞場になります。

 

その

『第1回 東をどり』

から数えて99回目…。

 

『第99回 東をどり』

が、2024年(令和6年)5月24日(金)から27日(月)の4日間、全10公演行われました。

 

新橋芸者衆の踊りは、

・西川流

・花柳流

・尾上流

以上の三流派の家元の直弟子として直接、指導を受けられています。

 

第90回目(2014年開催)の東をどりから、3つの流派が入れ替わりで演出を担当する形となっていて、今回の第99回は尾上流の家元である尾上菊之丞さんでした。

 

昨年5月21日(日)から23日(火)にかけて行われた

『第98回 東をどり』

の時に、初めて拝見させて頂いたのですが…。

 

着物の縫製やデザイン、色彩感覚など…。

歌舞伎のような華やかさは無いものの、日本女性らしい美しさが、初見の身にも伝わってくるものでした。

 

また、自分にはほぼ無縁な花柳界である事から、

「どんな世界なのか?」

「何が行われているのか?」

窺い知る事が出来なかったのですが、その一端をうかがい知る事が出来ました。

 

それはそれは衝撃的な事ばかりで、その後の自分の世界観を大きく変える経験となりました。

 

「次回公演も観に行こう!」

と心に決め、公演を楽しみにしていました。

 

5月25日(土)に観に行ける事になったのですが、事前にチケットを手配出来なかったので、新橋演舞場で弐の回(13時40分開演)のチケットを購入させて頂く事にして、現地に向かいました。

 

12時30分頃到着したのですが、丁度壱の回(11時開演)が終わって、お客さん達かお帰りになっている所でした。

(デジカメ忘れたので、昨年の画像を参考までにご紹介させて頂きます。)

 

劇場前の一部車線を規制して、将棋椅子等が置かれた休憩スペースになっていたのですが、この時間には利用されている方はいませんでした。

 

このスペースの劇場寄りの車線は使用されており、タクシーが次々とやって来てはお客さんを乗せて走り去って行くと言う感じでした。

 

列に並んで開場を待っていたのですが、

『東をどり』

の時だけは、明らかに普段の新橋演舞場の公演とは異なり、男性は料亭を利用する機会が多いであろうと言う政財界の大物と言った感じで、女性の方は和服姿の方が多く見られました。

例によって、自分はTシャツにGパン姿だったので、端から見たらかなり浮いていたと思いますが…。

 

ただ、前日(24日)に初日の幕が開いていた事なども有ってか?

昨年観た時に比べると列も短く、落ち着いて開場を待たれているような印象を受けました。

 

開場時間になると、順番に場内となりました。

 

正面入口を入ると、正面付近に劇場受付があります。

劇場受付の右手付近には、

『祝いビラ』

『招喜札』

が貼り出されていました。

 

『祝いビラ』

とは、花柳界でその昔行われていた習慣で、祝い事があると花に替えて誂えられたそうです。

現在では見かける事が少なくなったそうですが、

『東をどり』

を支援された個人と店舗のお名前を…。

『招喜札』

は日本文化を支援して下さる企業のお名前が書かれています。

 

この

『祝いビラ』

が飾られている場所の反対側に地下へ下りる階段があります。

ここを降りると

『地下食堂 東(あづま)』

があって、事前予約の上で

『東をどり』

だけの名物の

『陶箱弁当』

の引き換えが行われていました。

 

劇場受付の右手にある東をどりカウンターでは、

『新ばしブース』

事前注文された

『酒肴の折詰』

の引き換えと、

『料亭の茶席 東庵(とうあん)』

の茶席券の販売が行われていたとの事だったのですが、人が多かったので確認出来ませんでした。

なお、茶席は5月24日から26日までの3日間のみ開設されていて、5月24日 東京吉兆 / 5月25日 新喜楽 / 5月26日 金田中が日替りで席主を勤められていたとの事です。

 

東をどりでは、飲食などのメインは2階となります。

 

ようやく普段通りの飲食が提供できる状態になったと言う事で、全てにおいて昨年よりもパワーアップしておりました。

 

2階のロビーには

『日本酒 競べ』

と言う事で、各料亭が年ごとに競う自慢の酒を持ち寄ったコーナーがあって、対面には酒肴は折詰の松葉串の肴や、各料亭の卵焼きなど笹巻鮨などが販売されていました。

昨年よりも販売されているお料理の種類が多くなり、テーブルからこぼれ落ちんばかりの状態になっていました。

日本酒も、昨年よりも銘酒の数が増え、皆さん美味しそうに召し上がられていました。

 

2階の上手側にある

『食堂 かべす』

では、

『ビール競べ』

と言う事で、プロジェクターで壁面や天井に投影された東をどりの映像を見ながら、ビール四社の麦酒の飲み比べが出来るようになっていました。

(お値段は、大体東京ドームで売り子さんから買わせて頂くものと同額。)

 

前回は、東をどりの後に別の舞台公演を観に行った事から飲まなかったのですが、今回はこの公演だけだったので、自分も買わせて頂きました。

大きなサイズのプラ製のカップに、

『東をどり』

と書かれた千社札が貼られていて、お洒落な感じでした。

また、傍には紙コップに入れられた唐揚げが販売されていて、各料亭のお名前が書かれた千社札が貼られていました。

(千社札のお名前に書かれている料亭さんが作られた物か否かは分かりませんでしたが…。)

 

ここも賑わっていたのですが、最もにぎわっていたと思われるのは、下手側廊下に設けられていたドン ペリニヨンのシャンパンブースでした。白とピンクのグラス売りが行われていて、皆さんグラスを手に談笑されていました。

 

傍にあるショーケースに飾られていたドン ペリニヨンの瓶を見ると、いかにも高級そうで、自分には一生飲めないと思っていたのですが…。

お値段が白で4,000円だったか?ピンクと合わせて頼むと1万円とのtweetを見たので、ピンクは6,000円らしい…。

でも、このお値段では普段は飲めないとの事でした。

 

自分はお酒大好きであります。

(最近歳を取った為か?お酒に飲まれる事が多くなってますが…。)

しかし、超低収入なもので…。

(何しろ、就職氷河期のダイレクト世代なもので…。)

 

「超低収入だけど、飲んでみようかな?」

とも思ったのですが…。

 

次回以降、リベンジ予定であります…。(笑)

(確か、前回も同じ事を書かせて頂いた記憶がありますが…。)

 

今回の自分の座席も、前回同様3階の花席でした。

この席種は、前回は指定席で3,000円でしたが、今回は自由席で2,000円と気軽に利用できるように変更されていました。

また、構造上の問題で、新橋演舞場の3階席は、最前列に座ったとしても花道が見えない席があるなど…。

大体どこかが見切れます。

 

ただ、観やすい場所もあって、早い段階で席をキープする事が出来ました。

 

前回は不使用だった2・3階の左右両側の死角をカバーするモニターは、今回は使用されていました。

しかし、皆さん観辛いのはご存知のようで、そのエリアに座られている方は皆無でした。

 

それでは、以下感想らしきものになります。

 

第九十九回 『東をどり – 新ばし白花繚乱』

公演期間:2024年(令和6年)5月24日(金)~27日(月)

時間:壱の回 11:00 開演 - 12:30 終演
   弐の回 13:40 開演 - 15:10 終演
   参の回 16:20 開演 - 17:50 終演

会場:新橋演舞場(東京都中央区銀座)

鑑賞日:5月25日弐の回(13時40分開演)

 

今回の東をどりが第99回との事で、「百」から一を引いた「白」をテーマにした演目の数々が並んでいました。

 

個人の感想ですが…。

自分が初めて東をどりを観たのが前回の第98回だったのですが、その時よりも今回の方が素晴らしかったように思います。

 

歌舞伎のような豪華絢爛な衣装や舞台装置は無いものの、それでいて華やかでありつつも奥ゆかしい日本女性らしさのようなものが伝わって来ました。

 

本当に驚いたのですが、3階席から観ても分かる位皆さん若々しく、自然な感じて踊られていました。

 

特に、第1幕の1演目の

『長唄 あずま獅子』

の時、

「10代の少女が舞台上で踊られているんじゃないか!」

と驚きました。

 

「可愛い!綺麗!踊りが素敵!」

って思いながら観ていましたが、これが長年培われてきた

「芸の力」

のようなものなのかも知れません。

 

休憩時間後の第2幕

『お好み 新ばし白花繚乱』

はテンポが良く、次々と白に因んだ演目と出演者の方が踊りを披露されました。

 

口上では、ご出演された皆さんが勢ぞろいしてのご挨拶がありました。

 

吉例の締めは、三本締めかと思ったのですが…。

一本締めだったので、

「あれ?三本締めじゃないの?」

と思ったのはここだけの話で…。

 

また、手ぬぐいを最後に客席に投げられるのですが、3階席でも行われます。

(ただし、自分の回では通路際のお客さんへの手渡し。)

 

今回、初めて頂く事が出来ました。

 

「手ぬぐいなのに、凄く分厚いな!」

と思って、帰宅後X(旧Twitter)で東をどりの事を調べていたら、

「お茶漬けが入ってる。」

とポストされていたので、自分の頂いたものもみてみたら…。

「本当に入ってたー!(笑)」

 

今回も、日本の綺麗な芸や粋が会場の新橋演舞場に集まっていました。

日本に残さなきゃいけない文化の1つだなと感じました。

 

次回は、ついに節目の第100回となります。

今回以上の公演となるのは間違いないので、今から楽しみです。

 

 

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