2012年
1月2日
インド
ジョードプル
メヘラーンガル砦までの道程は足が自然に覚えていた
しばらく歩いていると
見覚えのある路地に差し掛かる
「……そういえば 昔 ここで
ラクダと子供の写真を撮ったなあ…
なつかしい…」
96年のジョードプル
ゆっくりと丘を登ってゆく
ふたりとも
ハア…ハア…
言いながら…
砂漠が近いせいか
空気が砂っぽくて
喉がざらざらした
「よく来たな…」
犬のオッサンに、そう言われた気がした
丘の上で
夕焼けから夜空に変わる瞬間まで
しばらくふたりで
町を眺めていた
雄大にそびえるメヘラーンガル砦
ジャスワント・タダという墓廟もライトアップされ
きれい(肉眼ではきれいに見えたのだが…)
ゆっくり空が暗くなってゆくと
町の灯りが賑やかになり
それと同時に
町のいたるところから聞こえてくる
生命感溢れる音色もまた
賑やかに感じられた…
オートリキシャーたちの軽薄なクラクション……
犬の吠える声…
遊んでいる子供たちの歓声…
駅は遠くにあるはずなのに
この丘まで聞こえてくる
列車のアナウンス……
ふたりとも
静かに
この町の音色に
耳を傾けていた