ピアノの神の化身「辻井伸行」さんの待望の新しいアルバム、
「ラ・カンパネラ~ヴィルトゥオーゾ・リスト!」。
その中から、新録音の「♪ラ・カンパネラ」を聴きます。
フランツ・リストのピアノ曲で、最も知られている「♪ラ・カンパネラ」。
「辻井伸行」さんは、2009年のクライバーン・コンクールの時にも、
この「♪ラ・カンパネラ」を弾いて満場の喝采浴びて優勝しています。
今聴こうとしているのは、
今年の5月に、ドイツ・ベルリンのテルデックス・スタジオで、
新たに録音された最新の「辻井伸行」さんの「♪ラ・カンパネラ」です。
クライバーン・コンクールから5年。
世界中をコンサート・ツアーで回り、
名だたる世界的指揮者やオーケストラと共演をしたり、
リサイタルを開催して、
大成功を収めてきたピアノの神の化身「辻井伸行」さんです。
この5年間の成長は目を見張るものが有ります。
今年の5月の録音の際に、
テルデックス・スタジオの名レコーディング・プロデューサーが、
「彼は世界最高のリスト弾きだ」と絶賛したそうです。
その、素晴らしい「♪ラ・カンパネラ」を聴きましょう。
「♪パガニーニによる大練習曲第3番嬰ト短調<ラ・カンパネラ>」。
鐘の音を模した主題が軽やかにリズミカルに鳴り響き、
「辻井伸行」さんの指が滑るように鮮やかに動き始めます。
澄み切った粒立ちの鮮やかな音色が冴え渡ります。
短い前奏から始まり、
やがて主旋律が登場し、
「辻井伸行」さんの鍵盤上を滑るように動く指が、
目にも止まらぬ速さで動き輝かしい演奏を展開して行きます。
最大15度の跳躍も、
まるで目がはっきり見えているかの様に、
鮮やかに跳躍して行きます。
15度は2オクターブ、凄い跳躍です。
薬指と小指のトリルも鮮やかに弾きこなして行きます。
「辻井伸行」さんの、
全ての音をハーフトーンで弾く独特の奏法は、
鍵盤の底を叩くことによって生じる下部雑音をいっさい出しません。
「辻井伸行」さんの「♪ラ・カンパネラ」は、
全ての音が澄み切っているのです。
どんなに超絶技巧の部分も、
一粒一粒の音が鮮明に聞こえます。
鐘の音も、
それを彩るハーモニーの音もリズムの音も、
全ての音が鮮やかに澄み切っています。
「辻井伸行」さんは、
リズムを全く崩すことなく、
緩慢さを全く見せることなく、
情感たっぷりに超絶技巧を弾き切ります。
鐘の音に託したリストの内面の複雑さと苦悩を、
「辻井伸行」さんは、
澄み切った音色で、情感たっぷりに私の心の奥底に届けてくれます。
今、
聴き終わって、
じーーーーーーんと、
感慨に沈んでいます。
しばらくは、
余りの素晴らしさに、
身動きも出来ません。
澄み切った音色が、
私の心の奥底に、
漂う様に余韻を残しています。
本当に素晴らしい「♪ラ・カンパネラ」でした。
ではでは。