モノ物価再上昇の兆し | 経済あらかると

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 日銀が本日公表した5月の企業物価統計によると、川上の輸入物価に続いて、中流の国内企業物価にも再び物価上昇加速がみられます。これから見ると、間もなく消費者物価の「財」価格にも上昇圧力がかかりそうです。

 

 まず「川上」の輸入物価は、契約通貨ベースで下げ止まりから再上昇の兆しが見えます。前月比は3月まで下落傾向でしたが、4月に0.2%上昇に転じ、5月は0.9%の上昇に加速しました。前年比でも2月のマイナス8.4%から5月はマイナス3.0%まで縮小しました。

 

 これに円安が加わって、円ベースの輸入物価は前月比で4月の2.0%、5月の2.5%の大幅上昇となり、前年比でも2月に0.2%のプラスに転じた後、5月は6.9%に加速しています。

 

 これが中流にも影響してきました。国内企業物価は前月比でみると今年2月の0.2%から、その後は0.3%、0.5%、そして5月は0.7%に加速しています。前年比でも2月の0.7%から5月は2.4%の上昇に加速しています。足元では電気ガス水道と非鉄金属の上昇が大きく寄与しています。

 

 電気ガスの上昇はすでに消費者物価にも影響が出ていますが、今後はその他の財も企業間の値上げ分がCPIの「財」価格の上昇に波及してきます。昨年までの輸入物価下落の影響は終わり、今後はまた輸入物価再上昇が消費者物価に改めて上昇圧力となり、その兆しが企業段階まで来ました。